ワームダイエット

一階エントランス突き当たりにあるエレベーターに乗り込み五階で降りる。

支社はエレベーターを降りて廊下の一番奥にあるのだが、驚いたことにすでに何人かの男女が事務所入口ドア前に並んでいた。

数えてみると幸いなことに六名だ。

最後尾に並んだルミはホッと一息つくとハンカチで額の汗を拭う。

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定刻の九時に事務所が開くまで行列の人数は増え続け、結局五十名以上の男女が事務所のドア前に並び廊下は人で溢れんばかりになっていた。

ネット上の告知通り先頭から十名までが事務所内に入ることができた。

その中にはもちろんルミも含まれている。

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セミナールームのような十畳くらいある部屋に整然と並べられた長机先頭には、先ほど選ばれた十名が座っている。

制服姿の女子高生、スーツ姿のサラリーマン風の若い男性、ボサボサ頭でトレーナーを着た中年男性など、その中にはもちろんルミの姿もある。

当然皆一様にかなり太めだ。

室前方の雛壇には白衣のハーフっぽい長身の中年男性が立ち、その前には腰丈くらいの台がある。そしてその上には四角い箱のようなものが置いてあり白い布が被せてある。
台の横にはアシスタントらしき白衣の女性が笑顔で立っていた。

すると男性が営業スマイルで喋りだす。

「皆様本日は早朝より弊社にお越しいただき、ありがとうございます。
わたくしスリムコーポレーション社日本支社広報担当の弘崎と申します。
本日はよろしくお願いいたします。
さてまず今日ここにおられる皆さんはとてもラッキーな方々ということを言わせていただきます。
なぜなら『ワームダイエット』はスリムコーポレーションのアメリカ本社開発部が独自に研究開発した全く新しいダイエット法であり、皆さんはそれを日本で初めて体験できる方々だからです。
それでは皆さんこちらをご覧ください」

男性の言葉の後に白衣の女性が台に被せられた白い布をサッと取り去った。