いちにち、いちみり
投稿者:太山みせる (35)
色坂は1人、キーキーと抗議の声を上げている
そんな色坂を見下ろし、
「いいか色坂、ボスはお前を『連れて来い』ではなく『持って来い』と言っていた。もはやお前を人間とすら思っていない。お前をボスに渡せば、あの人のことだ、獰猛な飼い犬の餌にしかねない。そうなる前に、オレが苦しまないように済ませるから!」
しかし色坂は、泣きながら「死にたくない」を連呼していた
その後も3人は話し合ったが結果が出なかったので、野村は2人をおいて帰った
どうにもならないことはある
※※※※※
1年後
「野村!」
非番の日、買い物に出た野村は声をかけられた
振り返れば吉見がいた
明るい顔でニコニコしている
「あぁ吉見、元気そうだな」
「こっちに帰って来たんだよ、もうアイツもいない」
「アイツはどうなったんだ?」
野村は小声で聞いた
「2ヶ月くらい前かな、オレが外出している間に、監視役が連れて行っちまった。その頃はアイツは1センチくらいで、もう声も聞こえなくなっていたよ。可哀想ではあるけど、自分で始末しなくて済んで、正直ホッとしている」
「そうか、お前は悪くないよ、気にするな」
「有難う、これからはまた地元で暮らすから、また会ったら宜しくな」
そう言って吉見は去って行った
前回会った時とは違って、何だか品の良さそうな爽やかな格好をしていた
もしかしたら彼女でもいて、これからデートなのかも知れない
何はともあれ、これからは他人に心煩わされないで、幸せに生きていって欲しい
吉見にも家族ができたら良いな、と野村は思った
※※※※※
色坂は監視役の男に、木箱に入れられてボスに差し出された
蓋を開けて小さな色坂を見たボスは、嫌悪感を示し、
「棄てろ」
と一言だけ命令をした
※
ひきこまれた。
引き込まれました。
10ページもあったかと思うほどあっという間に読んでしまいました!怖かったです!
面白かった。展開がハラハラする。
すごかった。
投票はしましたが怖かったより面白かった、「せめて1m〜」のくだりで不覚にも笑っちゃいました。
吉見さんに幸あれ!