「消えた少年」the boy who disappeared
投稿者:有野優樹 (6)
小学3年生の頃、近所の公園で野田くんと遊んでいたとき体験したちょっと不思議なお話です。
お互いの家が近いこともあって、野田くんとは毎日のように遊んでいました。楽しかったんですが、カードゲーム、かくれんぼ、鬼ごっこと、やる遊びが限られていたので、だんだん飽きてきてしまっていて。
ある日、いつも通りかくれんぼをしていたときのこと。
ぼくが鬼になり10秒数える。10秒あればどこかに隠れられてしまうほどの公園は、隠れる場所もだいたい限られています。
「みーつけた!」
「えー、もーかよー」
灰色の大きいコンテナの後ろに隠れていた野田くん。
「だってここくらいしかないじゃん」
「あはは。てかさ、誰か呼ばない?2人だけじゃすぐ見つかっちゃうし」
カードゲームにしろ鬼ごっこにしろ、何度もやっていると相手のやり方もわかってきてしまうので、新鮮さがなくなってきます。当時は携帯を持っていなかったので、誰か友達を呼ぶとなると、直接家に行かなければなりませんでした。
誰の家に行こうかと悩んでいたとき、見覚えのない(少し年上の)お兄ちゃんが
「ぼくも遊びに入れて」
と声をかけてきました。
どうする?と目配せをしましたが、特に断る理由もなかったので、一緒に遊ぶことに。
「なんでも言って。なんでもやるよ」
明るく話しかけてくれるお兄ちゃん。初対面ですが、すぐに馴染めそうなくらい人柄が良かったので
「じゃー‥鬼ごっこやりたいから、鬼やって!」
と図々しく頼むことができました。
どちらかが逃げてどちらかが鬼しか選べなかった鬼ごっこ。それが2人とも逃げられるようになると、それだけでも遊びの幅が広がった気がして、とても楽しかったんです。
「じゃ、次はかくれんぼ!それも鬼やって!」
少しずるい方法ですが、1箇所にとどまるのではなく隠れながら移動して遊んだり、じゃあ次は、そしたら次は‥と、本当になんでも聞いてくれるので、調子に乗って色んな要求をするようになりました。
夕方になり、もうちょっとしたら帰ろうかという雰囲気な時間帯
「次何する?」
と言われ
「うーん、できることは一通りやったしなー」
と考えていたとき
「死ねと言われれば死ぬよ」
お兄ちゃんから、考えもしなかった提案をされました。
野田くんが
「いやいや、そんなこと言えるわけないから」
一緒に遊びたかった幽霊やで(*´∀`)。