先輩
投稿者:にこ (1)
わたしが高校生の頃の話です。
わたしは合唱部に所属していて、その日も部員メンバーと夏のコンクールに向けて練習をしていました。
部員数は30人程。そこそこな田舎ということもあって部員数はあまりおらず、パートが違うからあまり面識のない人はいなかったです。
わたしは当時一年生でソプラノパートでした。
合唱部は基本3パートで、それぞれのパートが各部屋に分かれてパート練習をした後に一番広い音楽室で集まって歌っていました。(たぶんどこもこんな感じです)
合唱部が使っている部屋は同じ階にあるのですが少し作りが特殊というか、メインとなる音楽室には二つ扉があって、一方は廊下に、一方は壁を挟んだ小さめの練習室1に繋がっています。その練習室1に向かう扉には中が見えるようなガラスの窓が真ん中にあります。
パート練が終わって、音楽室に集まって合唱すると先生から指示があったので楽譜と譜面台を持って音楽室に集まりみんなで歌おうとした時です。
その練習室1に続く扉の窓から、わたしのパートの3年生の先輩が顔を出してこちらを覗いていました。ただ、顔といっても目と前髪だけで目から下は見えませんでした。
わたしは「あれ?〇〇さんだ」と思い、隣に立っていた友だちに「ねぇねぇ、あそこ見て、〇〇さん覗いてるよ」と友だちに伝えると、その子も「ほんとだ〇〇さんだ、何してんだろ」と話していました。
合唱部は歌う前に30分くらいの基礎練をしてから課題曲などに取り組むため、きっとその基礎練をするために練習室1に行ってるんだなと思いました。
ただ、部員は部室に来たら荷物を音楽室の隅に置いて、棚から自分の楽譜を取って練習室に向かうので、その先輩がなぜ荷物を置きに音楽室に入ってこないのか不思議でした。
その後40分くらい合同練習を音楽室でしましたが、練習室1にいるはずの先輩は混ざってきません。おかしいな?と思っていたら、廊下に続く扉の方から先輩たちが数人、荷物を持って入ってきました。その中に例の先輩もいました。カバンなどの手荷物を持って暑いねーなんて言いながら入ってきました。
わたしと友だちは「え?」と言いながら顔を見合わせました。ちょうど休憩時間だったのでその先輩に「さっき(時間も覚えていたので〇〇時頃に)あそこから先輩覗いてましたよね?」なんて笑いながら聞くと、先輩は「え?〇〇時?覗いてないよ?」と返事が。わたしたちは訳がわからなくて「いやいや、さっき合同練習中に練習室1の扉の窓から〇〇さん覗いてたじゃないですか!」と言うと「その時間、補講だったからそもそもここに来てないよ」と言うのです。
確かにその時期は、3年生の大学進学組は補講があるので部活に参加できても終わる30分前くらいで、その日もその先輩を含めた何人かは遅れてくると聞いていました。わたしたちが告げた時刻は補講と被っていて補講を抜け出したという話も他の先輩からは聞いてません。
でも確かにその先輩だったんです。
部活に参加していた部員はみんな音楽室に集まっているため、そもそも来ている部員がそこから覗けるはずがありません。
そして、その先輩は重めのぱっつん前髪に大きくクリクリした二重の目が特徴的です。見たのがわたしだけなら勘違いで済みますが、わたしの友だちもその先輩だと認識しているので見間違いではありません。
先輩に似た部外者?とも思いましたが、合唱部が使用している部室は普段使われない第三校舎の3階で、授業で使用する音楽室は第三校舎の2階にあります。ここは、ほば合唱部専用の音楽室なんです。
第三校舎の3階なんて、よっぽどの用がなければまず立ち入らない場所ですし、先生や部員に用があるならわざわざ練習室1に入らずに直接廊下から音楽室に入ってくるはずです。(練習室1にも廊下から入れる扉があります)
結局あれはなんだったのか、
オチなどはありませんが、わたしの学校は第一校舎だけ新設で第二、第三校舎は旧校舎なんです。そのため歴史も古く、第二、第三校舎で心霊体験をした話は色々と聞いていました。真面目な先生も旧校舎を見回り中に人影を見たと言うのでたぶん何かいるのでは、と思います。
昔の話になりますが、今も鮮明に覚えているわたしの体験した怖い話です。
先輩?怖いな。
怖かったです