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HPMPラブクラフトさんによる都市伝説にまつわる怖い話の投稿です

マッチが売れた少女
長編 2024/03/19 17:23 4,373view
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歯ぎしりだった。
この光景に少女は街灯に映る、少女のボンヤリと落ちている影にも嫌悪感を感じた。
突然、女の子は丸い目ん玉をデメキンよりも開いて喋り出す。

「じゅん、じゅん、じゅん、じゅん、じゅ、じゅ、じゅ、じゅん、じゅんさだぁああ!!」
女の子は手に持っていた大きなバスケットから赤い頭巾を取り出して、勢い良く被り、冷たい空気を切り裂いて薄暗い路地裏に物凄いスピードで走り、走り進んだ。

その出来事に少女は口をポッカリ開き、警察官も理解できずに立っていたが、我に返り叫ぶ。
「お、おい!どうしたって言うのだ!」
少女も正気に戻り、警察官に早口で説明する。
「ははは!彼女は相当な人見知りなんです!!ほら、あれですよ、今流行りの思春期とかそんな感じなんです!」
なんとも適当な理由を警察官に投げつけ、少女は女の子の後を追う。後ろで警察官が呼び止める声は数秒で消え去り、辺りは一層、街灯に植え付けられたランプの光が眩しく感じ始めていた。

少女は真っ直ぐ歩く中、雪のジュウタンに立つ女の子をとらえた。
女の子には真上から淡い火が零され、赤い頭巾がとりわけ燃えて映っていた。

少女は凍える温度の中で駆け巡ったので体温は熱く、またその影響か脳みそも熱く溶けそうになっている。

少女は憤りを混ぜて声を発した。
「あなた!何、警察官から逃げてるのよ!」
少女はハァハァと息を切らし、文句を言った。
女の子はニコリと笑って返答する。

「ごめんなさい、わたし、とってもじゅんさが苦手なのです」
「あなたがいきなり走って逃げるから、とってもビックリしたじゃない!」
それにしても、女の子は汗ひとつ垂れていない、いや、そもそも髪さえも乱れてはいない。
と、少女は女の子の頭に気付いた。
「あなた、凄い原色の赤色を被ってるわね」
女の子は少し悲しそうな表情を浮かべる。

「ごめんなさい、最初から被っとけば良かったですね、この頭巾」
「おかぁさんの言う事をちゃんと聴いてればなぁー」
女の子はため息を吐く

「あぁー、顔を見られたかもしれない」
と、ジロリと目玉だけを移し、少女の顔を見てニッコリと微笑む。
その視線に少女も背中から大きな玉の汗が伝わるのが分かる。

と、女の子は、奥の見えない路地裏をスタスタと歩き始め、少女もその後を追いかけてしまう。
少女は単刀直入に質問した。
「あなた、何かやましい事でもしているの?」
その質問に対して女の子は答える。
「違いますよ、わたしは、おかぁさんにオオカミさんには、気を付けろって教えられているんです」
少女はもちろん、その答えに疑問を感じる。
そこで、質問を別の物に変えた。
「その、バスケット、おばあさんに届けるって言ってたけど、何が入ってるわけ?」
「そうですね、お姉さんには助けて貰ったので、教えてあげても良いですよ」
少女は決して助けた訳ではないと思いながら、黙って女の子の言葉に耳を傾ける。
女の子は優しく笑う。

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コメント(3)
  • カオスwww

    2024/06/29/20:59
  • こわ

    2024/09/17/01:47
  • 好き

    2024/09/20/21:53

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