【微睡みの泉】というサイト
投稿者:ねこじろう (147)
長編
2024/03/19
13:32
12,993view
次の講義までの間、二人はキャンバスの舗道をぶらぶら歩きだす。
「何か最近すごく調子良さそうね」
隣を歩くN美がSの顔を眩しそうに見ながら言った。
「最近さあ何と言うかさあ、、フフフ、、力がふつふつ沸き上がってきててさ、、フフ、、ちょっと俺ヤバいんだよな」
と言ってSはまるで薬物患者のような奇妙な笑みを浮かべている。
2つの黒目はあらぬ方向を向いていた。
その顔にN美が少し違和感を感じていたその時だ。
「キャー!」
突然どこからだろう女性の悲鳴がする。
それからもあちこちから男女の悲痛な叫びや悲鳴が続いた。
何だろう?と思わず二人は顔を見合わせる。
それは彼らの立つところから100メートルほど前方にある6階建ての実験棟の辺りからしている。
二人がそこまで走って行った時には、既に人だかりが出来ていた。
その先頭にまで進み正面に現れた光景を目にした瞬間、二人は思わず息を飲む。
実験棟一階エントランス付近のアスファルトに、白衣姿の女子生徒らしき者が仰向けに横たわっていた。
彼女は血だらけになった顔をのけ反るようにして二人の方に向けている。
「え、、嘘、、М代!?」
信じられないような様子でN美は言葉を漏らすと横たわる女子生徒の側まで駆け寄り、その場で両膝をついた。
女子生徒はカッと見開いた両目でN美の顔を見て「み、、みんなが、、待ってるの、、み、、」とうわ言の様に呟くとゴホゴホと血を吐き、そのままガックリと脱力する。
次の瞬間、
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 31票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。