鳴 き 声
投稿者:ねこじろう (147)
相田さんは靖子の話を聞いていたのかいないのか無表情なままバタンとドアを閉めた。
靖子はただ呆然とその場に立ち尽くしていた。
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その日の夜。
ベッドの中で靖子は考えていた。
─隣の相田さんは私の苦情に対して、ただ黙ってドアを閉じた。
彼女のあのリアクションは、自分は猫など飼っていないということを言いたかったのだろうか?
でも今も時折聞こえてくるこのネットリとしたこの鳴き声は間違いなく盛りのついたメスの猫の声で、それは恐らく壁越しに聞こえてきている。
靖子は電気をつけベッドから降りると寝室から始めてリビング、和室、浴室、トイレと一部屋一部屋、音の出所を探してみる。
そしてとうとう彼女は、その場所を突き止めた。
それはリビング東隣にある和室奥の壁。
─うちと間取りが同じだとすると、この向こうはリビング奥に備え付けてあるクローゼットのはず。
和室と南に接しているのが寝室だから、よく聞こえていたというわけか。
ということは相田さんは夜になると、飼い猫をクローゼットに放り込んで寝ているということ?
この部屋の中でさえ鳴き声が聞こえるというのに、彼女は夜うるさくないのだろうか?
などと思いながら靖子はまた壁に片耳を近付けると、それはなんと言うか助けを請うような呻き声のようにも聞こえる。
彼女は改めて白い壁を見る。
そしてその下部辺りに何か黒い染みのようなものがあるのに気付いた。
─何だろう、こんなところにこんな汚れあったかな?
訝し気に思いながら中腰になりその染みをまじまじと見る。
直径5センチくらいのその黒く丸い染み。
それは見ようによっては苦し気な人の顔のようにも見えた。
こわいでしゅ( ;∀;)
気味が悪かったです!
怖い((( ;゚Д゚)))