鳴 き 声
投稿者:ねこじろう (147)
その日も壁越しに聞こえてくるメス猫のあの独特な鳴き声を聞きながら、彼女は天井を睨み悶々としていた。
耳栓でもしようか?とも思ったのだが、それも止めた。
というのは元来靖子は朝が苦手で、目覚ましなしでは起きれない。
耳栓のせいで定時に起きれなくて会社に遅刻してしまうといけないからだ。
それで何度かリビング東隣の畳部屋で寝たりもしたが、やはりどこからか同じような猫の鳴き声が聞こえ、結局は寝室のベッドで寝るようになった。
─確か隣に住んでいるのは、私と同じくらいの女性で相田さんといったな。
引っ越し挨拶の時にドア越しに会ったけど、何か青白くガリガリに痩せて目が落ち窪んでて陰気な感じの人だった。
それとドア閉めるときに見えたけど、左手の手首にはためらい傷の跡があったな。
何か複雑な事情がありそうな女性みたいね。
挨拶の時以外は外や廊下で会ったことないんだけど、あの人いったい何の仕事してるんだろう?
などといろいろ考え続けたせいで、その日も靖子は眠れなかった。
そのせいだろう、彼女は普段の仕事でケアレスミスが目立つようになってきていた。
そして先日は営業先に車で移動中にうっかり居眠りしそうになっててしまい、前の車に追突しそうになる。
それで靖子はとうとう決断した。
今度の日曜に隣の女性を訪ねて、直接苦情を言おうと。
※※※※※※※※※※
そしてその週の日曜日。
靖子はきちんと外着に着替えると、隣の部屋を訪ねる。
錆びた金属の扉前に立つと、相田と書かれた表札下部にある呼び鈴を押した。
─ピンポーン
しばらくしてガチャガチャという開錠する音がするとギギという軋む音とともにドアに隙間が出来、青白い女の顔が半分現れる。
相変わらず死んだ魚の目をしている。
靖子は緊張しながらも出来るだけ冷静に切りだした。
「朝早くからすみません。
あの本日うかがったのはお宅で飼われている猫ちゃんのことなんですが、その、、鳴き声が私の部屋にまで漏れ聞こえてきておりまして大変申しあげにくいのですが正直迷惑してるんです。
あの、、いろいろご事情もあるかと思うのですが、あの、、その、、これからも飼われ続けるというのなら去勢とかされればと思うのですが、、」
こわいでしゅ( ;∀;)
気味が悪かったです!
怖い((( ;゚Д゚)))