まりあさま
投稿者:ねこじろう (147)
僕はかつて山登りにはまっていた。
山登りといっても道具を揃えてやるような本格的なものではなく、在住の市北部に連なる山々の一つに車で行き目的なく山道を走り続け、めぼしい場所があったら車を停めて山の中に分け入っていく……
そんな気まぐれなことをやっていた。
※※※※※※※※※※
その日も、そんな感じで車を走らせていた。
それはまだまだ暑さの残っている8月終わりの日曜日のこと。
朝から晴天で雲一つ無くドアウインドウを開けて心地よい風を感じながら、僕は何となく山道を走り続けていた。
そして何度目のカーブを曲がった頃だっただろうか。
100メートルほど前方に古ぼけたトンネルが見えてきた。
蔦の絡まるアーチ型をした入口は、まるで何か異世界に通じているような錯覚に捕らわれるようだ。
僕は若干スピードを落とすと、ゆっくりトンネルの中に侵入していった。
暗く陰鬱な閉じ込められた空間がしばらく続き、トンネルを抜ける。
外に出ると急に道幅が狭くなり、辺りは薄暗くなった。
というのは両側に切りたつ山肌が迫り道路に覆いかぶさるようにたくさんの木々がしな垂れており、陽光を遮っているからのようだ。
そんな薄暗い山道をしばらく走ると、左前方の路肩に小さな祠(ほこら)らしきものがあるのに気付く。
ちょっと気になり、車を寄せて停めてみる。
外に出ると結構山奥まで来たのか、辺りはひんやりとした空気が漂っていた。
※※※※※※※※※※
祠の正面は神社の本殿入口のようなきめ細かな細工が施されている。
正面扉を開いてみると中に20センチほどの女神像のような人形が奉られていて、その目の前に置かれた皿には果物や米などのお供え物が置かれていた。
そして祠の背後には剥き出しの苔だらけの岩肌があり、水がちょろちょろ流れ出していた。
ふと右側に視線をやると、山奥に続いていそうなけもの道があるのに気づいた。
手前に低い木が一本あり、枝に段ボールの切れ端が紐で結びつけられていて黒マジックで
【ぱらだいす】
と下手くそな字で大きく書かれている。
続きを期待してます!
えっ?
えっ?
なんなん
なんなんなんなんなん?