ハーメルン
投稿者:綿貫 一 (31)
翌日から、雨の日が続きました。
陸は、しばらくの間はアニメを見たり、オモチャで遊んだりしていましたが、次第に「おそとでおともだちとあそびたいよお」と愚図るようになってきました。
私は「雨がやんだらねー」と言いながら、なんとかご彼のご機嫌をとっていました。
3日ぶりに晴れ間が出ました。
私は、エネルギー充填300%の陸を連れて、散歩に出ることにしました。
公園に寄るのは用心のためにやめておくとして、少し遠くのスーパーまで、散歩がてら歩いてみるのもいいだろうと思っていました。
玄関のドアを開けてやると、弾かれたように陸が飛び出していきます。
私は、鍵を閉めると急いで陸を追いかけました。
見ると、彼は家の前の通りで少しの間しゃがみこんでいましたが、やがてタッタカ駆け出しました。
おいおーい、いきなりスーパーと真逆の方向ですかー?
まあ、いいのですが。
あっちへフラフラ、こっちへフラフラ。ここでしゃがんで、また駆け出して。
我が家の王子さまは、実に気まぐれです。
私は、陸の後ろをのんびりついていきます。
行き先は陸にまかせよう。散歩だけして、帰ったっていいのだし。
そんな風に考えながら、しばらく歩いていると、普段あまり足が向かないような路地に入っていました。
道の両側には古い家々が並び、なんとなく薄暗い感じです。
塀も古ぼけた板張りだったりします。
「ねぇ陸ー、そろそろ引き返さない?」
呼びかけましたが、王子様改め探検家の陸は、ズンズン路地の奥へと進んでいきます。
なんか、向こうは行き止まりっぽいんですけどー?
「やれやれ」と思いながら、何気なく、彼の走っていく先を眺めた私の背中に突如、電流が走りました。
陸が駆けていく先。
道の真ん中。
そこにぽっかり、穴が開いていたのです。
黒く、丸い穴。
その底は見えません。
マンホールの穴だ――!
蓋が外れてる――!
やだ――!
なんで、どうして――?
陸――!
ハラハラドキドキ面白かったです。
読みやすく面白かったです
犯人は誰だろう?
お母さんやお父さん…じゃないしな