開かずの踏切
投稿者:水 (2)
友達の友達から聞いた話だ。
彼は小学生の時、学友と地元の怖い話を夏休みの自由研究で調べることになったらしい。
開かずの踏切。
線路が4本並走している大きく、長いその踏切は『電車が通っていないのに遮断機が上がらない』『自殺者が多いのは霊が招いているから』など話のネタになっていた。
朝から夕方まで、彼らはずっと踏切のそばで座り込み、踏切がしまっている時間を計ったり、実際に踏切を渡ってみたりと、いろいろなことをやってみたのだ。
しかし、夕方となり、帰宅を促す音楽が流れ、切り上げることになった。
彼らはその日の成果を喜び、しゃべりながら、その踏切の前に立った。
運が良いのか悪いのか、朝から聞き続けたカンカンという踏切警報器の音と共に遮断機が下りてきてしまったのだ。
そして、電車が遠くに見えてきたとき、
「危ないぞっ!」
と、彼の隣にいたサラリーマンが叫んで、遮断機をくぐって走り出したのだ。
そして、線路の真ん中まで来ると、急に辺りを見回して慌て出す。
周りの人たちも「戻れ戻れ」と騒ぎ立てるが、サラリーマンは聞こえていないのか、しゃがみこんで何かをしているようだったが……電車の警笛も空しく、轢かれてしまった。
「行こう」
学友が彼の手を引っ張り、その場から離れようとした。
「ここにいちゃいけない」
「どうしたのさ、〇〇くん」
「笑わないでね、僕ね、幽霊が見えるんだ」
〇〇くんは真剣な顔つきでそう言って続けた。
「あのおじさんは女の子を助けようとしたんだ。でも、女の子は幽霊なんだ。見えた。停まった電車と線路の隙間から血塗れの女の子が笑ってたんだ」
今にも泣き出しそうな学友を見て、彼は黙って後に続いて歩いていく。
だが、彼は振り返り、声のない悲鳴を上げた。
確かに、そこにいたのだ。
赤黒く汚れた線路と電車の車両の隙間に、寝そべった格好の血塗れの、顔半分が醜く崩れた少女が満面の笑みでこちらを見ているのを。
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