お気に入りのテレビ番組
投稿者:rark (32)
その瞬間、その男の子が画面を内側から叩くような映像が流れる。
「出して… 出して… 出して…!!」
続けて男の子が訴えかけてくる。
僕は急に恐ろしくなり、寝室へ駆け込み、両親を起こそうとする。が、どれだけ体を揺さぶっても、両親が起きる気配はない。
ガシャン!!
リビングの方から音が響く。
「おいで… おいで…こっちおいで……!」
あのテレビ番組に出てきた女の子の声。しかし、さらなる恐怖が畳み掛ける。
その声が、段々と近づいてくる。
(どうしよう!どうしよう!)
布団を被りながら、僕はパニックになる。
「こっちおいでぇ…」
そこでふと、僕の手元にリモコンが握られていることに気づきます。リモコンを持ったま、逃げてきたことを、思い出します。
僕はとある考えが浮かび、布団から這い出て、女の子に向かって、リモコンを向ける。
それに気づいたのか、そいつは、訳の分からない奇声を発しながら襲いかかる。それと同時に、僕はリモコンの電源ボタンを押す。
「変わってよぉぉぉ!!」
そう言い残して、女の子はプツンと消える。
まだ、心臓がドキドキしている中、僕は恐る恐るリビングへと向かう。
テレビは消えていて、何かが壊れた痕跡もない。急に眠気が襲ってきて、僕は寝室に戻り、眠りにつく。
次の日の朝。リビングへ向かって見ますが、異常は特にない。
その後、新聞を読んでいる父親に、「夜中にテレビはやっていたか」
と訪ねますが、父親は
「そんなわけないだろ」
と、一言。しかし、その後母親にこんなことを言われます。
「あんた。昨日寝ぼけてたよ。リビングで1人でケラケラ笑って…。」
あの出来事は夢だったのでしょうか?それとも……
あぁ。それと、なぜそのテレビ番組が好きだったのかと言うと、そのアニメの内容もそうなのですが、そのアニメの中で、好きなキャラがいて、主人公達を悪い夢から覚ましてくれる、当時の僕と同じくらいの歳のキャラクター。名前は覚えてないのですが、”夢の妖精”みたいな感じのキャラクター。まぁ、今で言う推しのようなものですね。
その件以降、幼児の間は、9時までには寝るようにはなりました。
ただ、そのテレビ番組でそのキャラを見れなくなったのは、少し残念ではありました。
そして……それ以降。幼稚園であった女の子を見ることはありませんでした。
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