【short_13】ジイジとお散歩
投稿者:kana (210)
短編
2024/01/06
21:22
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ボクがまだ幼い頃、田舎でジイジと朝散歩に出かけた日の事だ。
山々に囲まれた自然がいっぱいの土地で、空気もうまい。
柴犬のリッキーを連れ、自然に生えてるキイチゴなんかを取ったりしながら歩いていると、突然リッキーが吼えだした。なにかと思うと、向こうからツバの広い帽子をかぶった全身真っ黒の男が近寄ってくる。
男は、ジイジのところまでくると二言三言コトバを交わした。
「明日、また迎えに来る」と男が言う。
「明日とは、なんとも気が早いのぅ」ジイジが言う。
「その子でもかまわんぞ」そう言って男がボクを指さす。
「そういう訳にはいかんべ。わかった。明日な」ジイジがそう言うと、男は何事もなかったかのように去って行った。
その後ジイジはしばらく神妙な顔つきになっていたが、家に着くころにはいつもの顔に戻っていた。その日は書斎にこもりっきりとなり、あれこれ何かを書いているようだった。
「明日来ると言うあのオジサンのために、何か用事をしているのかな」
そんな風に思っていた。
翌朝、ジイジは布団の中で冷たくなっていた。
まるで自分が死ぬことを知っていたかのように、
書斎にたくさんの書置きを残していたらしい。
後で母やおばあちゃんらが「アレですごく助かった」と小声で言っていたのを聞いた。
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死神やな( ゚д゚)。