ある豪雨の日に出会った女
投稿者:Nilgiri (3)
「○○町か。俺、今日あの辺行きたくないわ。
お前行ってきてくれよ。」
会社に朝一で電話のあった、ある配車依頼を、
なぜか先輩たちは嫌がり、私が向かうことになりました。
何か問題のあるお客なのかと邪推したのですが、
まだ新人2年目の私に断るすべもなく、先輩たちが嫌がる理由も分からなかったので、
とりあえず気にせず行ってみることにしたのです。
「今朝は随分降りますね。」
私は後部座席に座ったお客様に、何気なく声をかけました。
「全く嫌になっちゃうわ。
いつもは病院までバスで行くんだけど、
こんな雨じゃバス停に行くまでに、ずぶ濡れになっちゃうでしょ?」
そんな風にぼやきながら、年配の女性のお客様はタオルで肩を軽く拭いています。
家の玄関近くで車を止めたのですが、
玄関からタクシーまでのほんのわずかな距離でも、横雨で濡れてしまったようです。
ですが、女性は濡れたことに怒るでもなく、むしろ気さくな感じです。
「本当は、こんな日に外出したくないのよ。でも薬をもらわないと、もうなかったし。」
女性の愚痴に相槌を打ちつつ、私は車を発進させました。
女性は本当にうんざりした様子でしたが、ごく普通のお客様でしたし、
何となく肩透かしでした。
なぜ先輩たちが、この依頼を嫌がったのか分かりませんが、ただの気まぐれだったのかもしれません。
特に問題なく病院まで送り届けると、私は次のお客様のもとに向かいました。
今日は、ただの雨というより豪雨といってもいい天気ですが、こんな日は配車依頼が多いのです。
タクシー運転手なんて家業をやっている私にとっては、雨の日はまさに書き入れ時。
特にこんな豪雨の時は、お客が途切れることがなく、毎日豪雨だったら一体どのくらい儲かるだろうか?
なんて、不謹慎なことを考えてしまうほどです。
せっかくの儲け時、ゆっくり昼食なんて食べるのも勿体ないと思い、14時過ぎまで走り回っていたのですが、ちょうど行きつけの食堂に通りがかった時に雨が止んだものですから、ランチタイムぎりぎりに店に入ることにしました。
「あら、いらっしゃい。日替わり、まだ残っているわよ。」
顔を出した途端、いつもにこやかな馴染みの女将さんが、声をかけてくれます。
ここの食堂の日替わりは、いつも人気ですぐに売り切れることも多いのですが、今日は珍しく残っていたようです。
kanaです。(旧姓kama)
「じろうの怪談朗読」拝見いたしました。素晴らしいです。もうけっこう出されているんですね。
自分もそのうちチャンネル持ちたいなぁ~と思っていたので、うらやましいです。
声に自信はないので、自分もVOICEVOXや、ずんだもんとか、考えてます。
さすがにずんだもんは厳しいか・・・。
応援しております。チャンネル登録もさせていただきます。
ボクの作品も使えそうなのがあったらどんどん使っちゃってください。では~
読みやすい。場面が浮かんで来そう。
kanaです。(旧姓kama)
なぜか書き込みが反映されませんでした。youtubeのことをあんまり書くとダメなんかな?
応援してます。見に行きます。
長文なのに飽きる事がない作品でした。
kana様へ(もし見てくださっていれば…
いつも作品を拝読させていただいております!
コメントに、チャンネル登録まで…嬉しいやらありがたいやらで、大変恐縮です。
下手の横好きで、動画にまで手を出したのですが、まだまだ試行錯誤の状態です。
私は、最近人気のずんだもんをはじめ、30人前後のキャラクターの声を無償で利用できるVOICEVOXを使って動画を作っていますが、最近は色んな音声ソフトが出ていますから、動画を始めるときは悩みますよね。
でも、毎回感服するほど引き出しの多いkana様の怪談、もし動画を作られる予定があるのであれば、とても楽しみです。
コメント、本当にありがとうございました!