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不思議体験

綿貫 一さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

押入れの腕
短編 2023/12/04 20:10 3,965view
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妹が殺されてしまう。
誰の、ナンノ腕なんだ。
離せ離せ。
気持ち悪い。もう触りたくない。
はなせはなせはなせはなせ。

僕が背後の襖を開けたのは、無意識のことだった。
押入れの中に、薄暗い光が差し込んだ。
そのとたん、腕は妹から離れ、押入れの闇の深いところへと、音もなく消えていった。

僕は放心していた。

妹が、泣きながら押入れから飛び出してきた。
僕は抱きしめようと腕をひろげたが、妹はそんな僕の脇を通り過ぎ、駆けていった。
部屋の外から、K君の驚いた声がした。

「おいおい、お前、どうしたんだよ?
 泣くなよ、よしよし。
 そんなに抱きつくなって――」

妹も、K君のことが大好きだったからな。

§

帰ってきた親たちは、泣きじゃくる妹を見て訳を尋ねたが、答えを得られずに困り果てた。

僕は、何も言わなかった。

結局、両親は妹を連れて、家に帰ることにした。
僕は当初の予定どおり、もう少しだけ親戚の家に泊りたいと言い、それを許された。

§

結局、その夏を最後に親戚の家に泊りに行くことはなくなった。
それは親たちが決めたことだったが、僕にしても、妹にしても、行く理由はなくなっていた。

K君がいなくなってしまったのだから。

僕はあの後、K君とふたりだけで、神棚の部屋に入ったりなんかしていない。
K君に、「押入れの中に面白いものがあるよ」と言って、中に入るよう勧めたりなんかしていない。

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コメント(1)
  • K君を使って何だったか探ろうとしたんですかね・・・?ガクガクブルブル

    2023/12/05/10:32

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