母の生まれた謎の集落
投稿者:kana (210)
さらに進むと、そこから獣道のような細い道が山の中に続いており、そこを突き進むとそれは集落へと繋がっていた。山奥の木々の隙間を縫うように、小さな古びた小屋のような家々がいくつかあり、広場のように切り開かれたところではキャンプファイヤーのようにして火が焚かれている。そしてその火のまわりに10人ほどの人だかりができていた。
「・・・あれはもしかして、さっきのサナトリウムの葬列にいた人たちでは・・・」
そう思い警戒しながらよく見てみると、なんとその人だかりの中に母親がしゃがみこんでいるではないか。
「母さん!!」ボクは思わず叫んで、走り出していた。
一斉にボクの方を振り返り凝視する人々。母もボクに気が付いたようだ。
「あぁ、おまえも来たのかい」
「母さん、一人で歩き回ったらダメだよ!心配したんだからね!!」
「ここだよ、ここが母さんが産まれた集落さ」
「えっ・・・ここが・・・?」思わず絶句しながらまわりの人々を見回す。
「えっへっへ、よう帰って来なすったなぁ~」
「ほんに、なぁ」集落の人たちが語り掛けてくる。
「どうもみなさん、お騒がせしました。ほら母さん、帰るよ」
ボクは周りの人たちを警戒しながら、一刻も早くここから母を連れ出したいと思っていた。
「それがね、腰を痛めてさ、歩けないんだよ」と母。
「あぁ、腰を痛めたんじゃあ無理せん方がええ。今晩はここにお泊りなされぃ」
「そうじゃ、しし鍋でも食べてってくんろ」
周りの人々が口々に言う。
「サナトリウムならベッドもあってええんじゃろ」
それを聞いたボクは心の中で(あそこはダメだ、あそこはダメだ!)とつぶやいた。
とにかくここから一刻も早く逃げ出したかった。
「いえ、皆さんありがとうございます。町でホテルも予約していますし、母はボクがおぶって帰ります」そう宣言して母親を無理やりでも連れて帰ることにした。
「ほうかい、せっかく来たんのになぁ」
「ここで生まれた人間は、ここに帰って来て、ここで死ぬのが一番幸せだになぁ」
なにか恐ろしいことを言い出しはじめた。いや、悪気はなかったのかもしれないが、あのサナトリウムの生首を見た後では、とても冗談には聞こえない。なにか得体のしれない恐ろしさがある。
「ほら母さん、早く背中にのって」ボクはとにかく無理やりでもここを離れる決心をした。
「五郎さん、送ってってあげんさいな」
「あぁ、んだな」
五郎という名の男が送ってくれるという。ボクは断ろうとしたが、五郎はかついでいた鉄砲を構え、「この辺は熊も出るしな。わしが付いてかんと危ない」と言う。
そう言われると仕方ないと思い、途中まで付いてきてもらう事にした。
鉄砲の事は詳しくはないが、それでも五郎さんの持っている物がかなり古いのは判る。
木で出来た部分はもう古くて黒光りしている。以前、北海道を舞台にした漫画を見たことがあるが、それに出てきた鉄砲とよく似ている。あの漫画はたしか明治時代の話だったはずだ。そんな時代の鉄砲をまだ現役で使っているのか・・・。
kamaです。今回もお読みいただきありがとうございます。実は、これを書いている最中に首にものすごい痛みが出るようになり、10日の日は会社を休んで形成外科へ行きレントゲンを撮ってもらいました。骨に異常はなく、原因不明。とりあえず薬をもらってきたのですが、もう本当にひどい痛みで、頭が首から落ちてしまうのではないかという痛みで、寝返りを打つときは両手で頭を押さえながらしていました。医院でもらった薬が効いたのか、その後は回復してきて、やっとこのお話を書き終えることができました。なので予定より2~3日余分に時間がかかってしまいました。
・・・まぁ、霊障じゃないと思います(笑)薬で治りましたからね。
もし、読者のみなさんにも首が痛くなった人が出てきたら・・・その時はタイトルに【霊障注意】って入れます! よろしくお願いします。
凄く読み応えがあるお話でした
↑kamaです。コメントありがとうございます。楽しんでいただけたでしょうか。首は痛くなってませんか??
亡くなった人の首をホルマリン漬けって、奇妙な風習ですね。ちなみに読んだ後、首の痛みは出なかったがヘルニア持ちです。
↑kamaです。コメントありがとうございます。お体、お気を付けください。
読んだ翌日、朝目覚めたら全く右腕があがりません。とりあえず湿布で様子をみて良くならないようなら病院へいこうと思います。年のせいかも。
↑kamaです。コメントありがとうございます。その後右腕はいかがですか? シップならロキソニンテープよりケトプロフェンテープの方が効きますよ!! 他に身体の調子が悪くなった方はいませんか~?? みんな集まれー!! もはやこのコメント欄がサナトリウムだ!!
あっ、そうそう・・・この話に出てくる生首のホルマリン漬けですが・・・主人公も言っているようにホルマリンではなさそうですよね。どっちかというと、ハーブ酒に近いような・・・
rarkです。とても面白かったし、とても参考になりました!!
↑kamaです。rark様!??ひょえ~~コメントありがとうございます!もったいなきお言葉。でもボクなんかまだまだですよ。みなさんのお話を読んですげーなーと思うことが多いです。奇々怪々さんは自由に書かせてくれるところなので安心してもう100話も書いちゃいましたが、まだまだ言葉足らずや逆に言葉が多すぎる部分もあったりで日々いろいろ考えながら書いてます。rark様の作品ももちろん読ませていただいております~~。ありがとうございます。
kamaです。どうやら韓国語のYoutubeチャンネルで朗読されたみたいです。ありがたやありがたや。何言ってるかはわからなかったですが、とても贅沢な作りで感激しました。
何か凄く韓国っぽいな〜とは思ってた
↑kamaです。コメントありがとうございます。ナルホド、これは目からウロコです。そうやって見ると物語全体がなにか怪しげな雰囲気をまとってより楽しめそうですね。お話の中ではあえて地名は出していないし、変に特定されると困るのでフェリーの時間も適当にして、方言もいろいろ混ぜてやってるのですが、なるほど~韓国かぁ~。こりゃー韓国を舞台に1本書いてもおもしろいかもしれないですね。
とても読みやすく読み応えのあるお話でした。
↑kamaです。コメントありがとうございます。もう今までさんざん読みにくいだの話が長いだといろいろ言われてきましたので、読みやすいなんて言われるととてもうれしいです。ありがとうございます。これからももっと精進いたします。
すごく不気味で読み応えがある名作でした
↑kamaです。コメントありがとうございます。お褒め頂き大変感謝しております。
次回作・・・いや、次々回くらいかな~・・・もっと怖いの出します。お楽しみに。
夢にまで、でてきそうな怖いのお願いします。
とても面白い内容でした
読み終わったらちょと首が痛くなってきました。どうすればいいですか?教てくださいKama
さん
五郎って方は女性の人ですか?クビは痛くありませんが…読み終えたアトなんとなくそう思えました。
最後のサナトリウムと周辺の集落跡地の火災は、お兄さんが、火を放ったということなのでしょうか??
とても読み応えのある話でした。
↑そこは描かれていませんから、想像するのが一番楽しいかもね。
もしかしたら、集落の謎の住人達と壮絶な戦いがあったあとでの火災かもしれないし、
お兄さんも死んだのかもしれないし、生きてるかもしれないし、
集落の人間たちはそもそも日本人としてカウントされていない人間なんじゃないのか、とか
いろいろ想像が膨らみます。
実は、集落の人々はサンカだった説