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ヒトコワ

青年将校さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

【インドノニキ】
短編 2023/10/04 21:11 4,414view
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ふと、何かの気配を感じました。

かすかに呼吸音が聞こえます。

薄目のままゆっくりと左側に視線を移しました。

「ひっ…」

漏れそうになる叫びを飲み込みます。

隣のベッドの2段目には息子さん。

彼が横たわりながらじっと僕の顔の辺りを見つめているのです。

さらに毛布の下で下半身を上下に擦っているのが分かりました。

「フッフッフッ…」

心臓が止まりかけます。

薄目のまま助けを求める気持ちでベッドの1段目の方に視線を移します。

老婦人はベッドに腰掛けており、なぜか彼女も僕の方をじっと見上げていたのです。

言いようのない恐怖を押し殺し、僕は寝返りを打ったテイでゆっくりと彼らに背を向けました。

永遠とも感じる時間の中、全神経を背中に集中させた僕は、結局朝まで一睡もできませんでした。

夜明けとともにヴァラナシの街に到着します。

何も知らない友達はスッキリした顔で興奮気味です。

駅での別れ際、息子さんが僕らに言いました。

「Thank you」

とても目を合わせることができませんでした。

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コメント(1)
  • 海外の新台列車は違う意味で怖いですよね。

    2023/10/09/15:24

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