空飛ぶ「コータ君」
投稿者:青年将校 (7)
僕の生まれは東京の西の方で「ニュータウン」と呼ばれる場所です。
そこは都心で働く人達のベッドタウンになっており、今でも高層マンションがいくつも立ち並んでいます。
そのマンションの中でも比較的貧困層が住む「都営団地」と呼ばれる団地で僕は生まれました。
「都営」という名の通り、そこには問題を抱えた家庭しか基本的に住めません(もちろん僕の家庭もその1つですが)。
そのほとんどが母子家庭、生活保護者、障害者のどれかです。
今回はそんな団地で育った僕の小学生時代のお話をします。
当時の僕はいつも2つ上の兄に連れられて、団地の子供達と遊んでいました。
いつものメンバーには「コータ君」という子がいました。
年は兄と同い年でしたが、今思えば確実に何かの「問題」を抱えている子でした。
うまく喋れない、すぐ癇癪を起こす、といった特徴、そして、特に僕が覚えているのは彼の「恐怖心の無さ」です。
僕達の間ではある時期まで「マンション鬼ごっこ」という遊びが流行っていました。
その名の通り1階から10階まであるマンションを駆け回り鬼ごっこをするという、今考えればなかなかハードな遊びです。
「コータ君」はその「3次元」での鬼ごっこをさらに「4次元」でやってのけるような子でした。
どういうことか。
「コータ君」は鬼に捕まりそうになると、そこが何階だろうと、躊躇なく柵をよじ登り、外側から逃げてしまうのです。
読みやすい。
パルクールやって欲しかった。
色んな意味で怖い話しでした。
子供ってアホだからこそ高いところからとびおりたがるよね。自分がそうだった
コータ君には、なにが見えていたのでしょう?次回作、楽しみです。