空飛ぶ「コータ君」
投稿者:青年将校 (7)
短編
2023/08/29
00:02
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もちろん命綱なんかありません。
上の階から見た下の景色は子供ながら足が震えたものです。
しかし「コータ君」は顔色1つ変えず柵から身を乗り出し、外壁の排水管なんかをつたって下の階や上の階に逃げてしまうのです。
僕は子供ながらに「ぶっ飛んでるな」と感じて感心していました。
そんなある日「マンション鬼ごっこ」は突然禁止になります。
「コータ君」が亡くなったのです。
その日は習い事の関係で僕は参加できなかったのですが、兄達との鬼ごっこ中、「コータ君」は8階から転落してしまったのです。
即死だったと聞いています。
その後、兄達は警察や親からこっぴどく叱られたようで、僕が家に帰ったときには何も話さず塞ぎ込んでいました。
事故の責任も感じていたのでしょう。
母親から事の顛末を聞いた僕は衝撃を受けつつ、心のどこかで「やっぱりな」とも思っていました。
コータ君の怖い物知らずな遊び方は、正直いつ事故が起きてもおかしく無いと感じていたからです。
それから何ヶ月か経った後も、兄の口数は少なく、塞ぎ込んだままでした。
子供ながらになんとなく「鬼ごっこ」の話題を避けていた僕でしたが、兄が心配になり、母がいない時に「兄貴のせいじゃない」と声をかけました。
すると意外にも兄は「俺のせいな訳あるか」と言い、「階段」と呟きました。
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読みやすい。
パルクールやって欲しかった。
色んな意味で怖い話しでした。
子供ってアホだからこそ高いところからとびおりたがるよね。自分がそうだった
コータ君には、なにが見えていたのでしょう?次回作、楽しみです。