悪魔とミュージシャン
投稿者:イエティ (51)
長編
2021/03/09
11:31
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俺は怖くなって、その場から逃げ出したかった。
「愛するものを生贄にすればね、シューエルド様も憑依してくれる!!!」
「憑依!シューエルド様!!シューエルド様あああああ!!!」
5分ほど叫び続けただろうか、
糸が切れたようにバタンとその場に倒れた。
俺とKは固まって動けず、その場でしばらく沈黙していた。
Sが目覚めた。
・・・・・が、顔つきが明らかに違う。
虚ろな表情で、目の前に転がった、布に巻かれた”何か”を抱えたと思うと、
英語でそれに向かってしゃべりだした。
声も、顔も、明らかにSのものではない。
それに、Sはこんな流暢に英語を話せないはずだ。
しばらくしゃべり続けたあと、
布から”それ”を取り出し、一心不乱に”それ”を貪り食った。
「あっはっはっはっはははは!!!!!!」
Sの声で、狂ったように笑いながら。
苦悶の表情で、大粒の涙を流しながら。
「なんで、どうしてこんなこと」と後悔の念を唱えながら。
「ごめんなさい、ごめんなさい」と懺悔を繰り返しながら。
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