某テレビ番組のお蔵入りネタ
投稿者:とくのしん (65)
さらに進むと車1台がやっと通れるくらいに道幅が狭くなる。幸いコンパクトカーで取材に来ていたこともあって、慎重に進めば問題なく走行できた。
「こういう道にも慣れたよな」
取材を通して幾度となくこういった道には出くわしてる。さすがに経験がものを言うのか、ガードレールがない崖に隣接した道にも臆することなく進んでいく。
「この先にありますかね?」
「引き返すにもUターンできる場所もないしな。行けるところまで行ってみよう」
ただひらすら細い1本道が続くなか、二人は若干の不安を感じていた。
本当にこの先に目的地があるのか?車をUターンできる場所があるのかどうかなど。
そんなこんなで1時間くらい走っただろうか、幾重にもうねった道を進むと、木々の向こうに建物らしいものが見え隠れしていた。
「あ、あれじゃないですか」
山辺が少し興奮気味に指をさして声をあげた。
「ふい~、それっぽいね」
長いこと道なき道を走っていたことの緊張から解かれたことで、上田は安堵のため息をついた。
車から降りて大きく背伸びをしながら上田は辺りを見回す。山の奥の一軒家らしく周りは木々に覆われている。車を停めた先は登り坂が続いており、母屋と思われる家屋に繋がっていた。家屋は築50年・・・いやもっと古いかもしれない。昔ながらの農家といった作りをしているが、当時は立派であったろう屋根瓦はところどころ欠けている様は何ともみすぼらしい。近くには畑だったのだろうか、雑草が生い茂り今ではその面影だけがかろうじて残っている。そんな荒れ果てた様子を見る限り、下の集落の住民が言っていたように誰も住んでいないようだ。敷地内には写真で見たもう一つの大きな建物。よく見れば豚か牛を飼っていたような畜舎のように見える。大きく古びたそれは母屋よりも朽ちており、今にも崩れそうなほどであった。二人はそんな寂れた光景を眺めながら母屋へと向かった。
「ごめんください。どなたかいらっしゃいませんか?
母屋前で大きな声で挨拶をする上田。しかし返事はない。
返ってくるのは虚しくもこだました自分の声だけ。静寂の中、しばらく待つもやはり人の気配は感じない。
「・・・誰もいなそうですね」
「うーんハズレか。まぁせっかくここまで来たしもう少し撮影しておくか」
山辺はここまで来るまでに車中からずっとカメラを回し続けていた。目的地は無人とはいえ、コンセプト通りの一軒家。これはこれで素材になるからと撮影を続けていた。
玄関から右手に回りながらふと窓に目をやると人影を見つけた。作業着を来た60代くらいの男性が窓からこちらの様子を伺っている。山辺に促され上田も男性の存在に気づいた。
「突然すみません。私、上田と申します。〇〇という番組の撮影で伺った者ですが少しお話を伺うことはできませんか?」
男は問いに何の反応もすることなく、こちらをただ凝視していた。少しすると男は表情を変えることなく無言のまま部屋の奥に姿を消す。上田は自分の声が届いたものと思い、その場で男が出てくるのを待った。山辺も同じ期待を持っていたに違いない。
「良かったですね。住んでいる人、いましたね」
「ホントだね。やっと報われた気がするよ」
「苦労してきた甲斐がありましたね」
二人は談笑しながら男性が出てくるのを待った。
1分・・・2分・・・3分。5分待っても男性が玄関から出てくる気配はない。
「全然出てこないですね。こっちには気づいていたはずなんだけど」
「もしかしてうんこでもしてるんじゃないか?」
上田が再度男性に呼びかけた。
あ、月初か
今月も精が出ますね、おつかれさまです
よく見ている番組です。
面白半分で心霊スポットに行くYouTuberと違い、意図しない心霊スポットへの訪問が一番怖いですね
地元の方が言い淀む家は今後ご注意なさった方が良いですね。
連れて帰ってくると厄介なので、お清めの塩なども持参した方が良いかもしれません。
ポ○ンと一軒家?…地元民の反対を強行取材したら怖い目に。唯一の住民らしき男は何者?何やら不気味なイノシシが、事件の真相を握っているかの様…単なる見間違えであって欲しい。いや、怖い!
いや警察電話しろよ・・
つまり、村の人っていうのがそもそもいない…ってこと?
「あそこには行かないほうがいい」と言った人も・・・?
とくのしんです。
2ヶ月続けて大賞受賞することができました。怖いに投票してくれた方々、本当にいつもありがとうございます。目標としている100以上の怖いを獲得できて嬉しい限りです。
今月は2作品、会社のPCに保存してあるので、月曜日以降に投稿する予定です。
怖い話が似合う時期になってきましたので、ぜひとも楽しんで頂ければ幸いです。
多分フィクションだろうがおもしろい
このような話またよろしくおねがいします
面白かった
最後のオチもいい
筆者を自分にしないとその時の会話とか知ってるのおかしいよねってなっちゃうな
受賞を目指して投稿された創作と考えたら面白みが半減しました…
残念です。
ご想像におまかせしますじゃなくて
ちゃんと作ってほしい
持ち主がいるかもしない家の敷地内に勝手に入って撮影しまくるテレビクルーの方がムカつくな。そんなんいたらチビるくらい脅かしてやりたくもなるわ。