ガッチャンがいる

「ガッチャンがいる」

「ほら、早く起きないと。今日から旅行でしょ？」
母親の声で目を覚ました。そういえば今日から、いとこ一家と合同で、九州に旅行に行くことを思い出します。なんか、もの凄い嫌な夢を見た気がする。なんて思いながらも、なかなか思い出せないまま、身支度を整えて、家を出発しました。現地でいとこ一家と合流して、色々な観光地を回ったり、美味しいものを食べたり。時間はあっという間に過ぎていきます。その日の夜、旅行で、自分と、いとこの、両親に、ちょっと出てくる。すぐ戻るから。と言われ、二人部屋に取り残されました。すると2分くらい経って、まだ小さいいとこが、壁を指差して、
「ガッチャンがいる」
と言い出します。
ガッチャン？なんて思いながらも、いとこに尋ねると、いとこが紙に絵を描き始めます。それは真っ黒なクレヨンで、人型の何かを書いています。頭の部分はU字磁石のような形をしていて、体はもの凄く細い。
「○○？（いとこの名前）」
と聞くと、いとこはゆっくりとこちらを向きます。僕は紙を指差して、
「コレが…ガッチャン？」

と尋ねますが、いとこは
「いや？なにコレ？」
と、まるでさっきまでなにもなかった。というように、何回聞いても、知らないの一点張り。気味悪がりながらも、その日は、両親が帰ってきてから、すぐに寝る事にしました。次の日、旅館をチェックアウトして、車に乗り込もうとした時、いきなりいとこが、僕の方を向き、僕を指差して、
「ガッチャンがいる」
僕がガッチャンな訳ありません。と、いうことは…僕はゆっくりと後ろを向きました。
ーー
「ほら。早く起きないと、今日から旅行でしょ？」
母親の声で目が覚めました。そういえば今日からいとこ一家と合同で旅行に行くことを思い出しました。
なんか、凄い嫌な夢を見た気がする。