【白鳥凉子】というマッチングアプリの女
投稿者:ねこじろう (147)
そして小一時間かけて愛未は別人のように様変わりした。
上條が好みと言っていた派手めな美人タイプに。
氏名は白鳥凉子にした。
恐らくこのまま会社に行ったとしても、社員の誰も気が付かないだろう。
彼女はスマホで数枚自撮りをすると、一番艶やかで派手めな感じのものをアプリに登録した。
─ふふ、、これで後は上條くんが、彼好みのタイプに様変わりした私を選んでくれるのを、ただ待つだけね。
愛未はニヤニヤとしながらパソコンを閉じた。
彼女には選ばれる自信があった。
というのは普通お付き合いをする相手を探す場合、誰もが出来れば同じ地域に住む人を選ぶであろうし、そうなると上條と同じ地域で彼の好みに沿った容姿と年齢の愛未が選ばれる確率はぐんと上がるはずという目論見があったからだ。
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反応は2日後にあった。
愛未が会社を終えアパートに帰ってパソコンを開き、アプリを起動すると、いきなり「マッチング希望の方がいます」というメッセージが目に飛び込んできた。
慌てて確認すると、3名の男性の顔写真とプロフィールが並んでいる。
その一番上に上條の顔写真があった。
愛未は他の2人には目もくれず、上條の自己ピーアールを見る。
─スポーツ観戦とカラオケが趣味の、いつもポジティブな男性です。白鳥さんは僕と同じ地域に住んでおられるようですね。もし宜しければ一度お会いしませんか?
お返事お待ちしてます!
愛未はすぐに了承のメッセージを返信した。
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それから愛未(白鳥凉子)と上條は数回のメッセージのやり取りの後休みの日に直接会い、一緒に食事をすることになる。
それまでに愛未はメガネをコンタクトに変えた。
そしてデートの日は、出来るだけ体のラインが目立つワンピースを着て出向く。
もともと痩せ型だった愛未には、なんの問題もないコーデだった。
そして最初のデートは無難に終わる。
本来陰キャな愛未は、上條と会っている間は無理をして明るくポジティブに振る舞うようにしていた。
上條は、愛未が作った仮想の女である「白鳥凉子」にぞっこんになってしまったようで、帰り際に次のデートの約束まで取り付けてくれた。
それから数回のデートを経て、2人は正式にお付き合いすることになった。
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ここまでは順調に進んできた愛未だったが、彼女の心は穏やかではなかった。
それはまずプロフィールを偽っているということ。
演じるって疲れますよね。
そうですね、演じる対象と演者の見た目や中身がかけ離れればかけ離れるだけ、演者はくたびれるものでしょうね。
─ねこじろう
1回、三井のリハウス、しとこか。
⬆️🤣🤣🤣
そういえば、そうですね
─ねこじろうより
なぜか、エースを狙えと言うアニメを思い出した。
黒烏夏男です