喫茶店のお客さん
投稿者:白と黒の旅人 (33)
私が大学生になって一人暮らしを始めた頃、ある喫茶店でオープンスタッフ兼アルバイトとしてバイトを始めました。
通学路から少し逸れたところにあったお店でオープン前のマスターさんと知り合い、オープンと同時にアルバイトとして雇って貰いました。
オープン以降もお客さんは安定して入っており、経営も安泰でした。
そんなお店でマスターと体験した事の話です。
「Oくん(私のこと)って見えるタイプかい?」
「見えるって何のことです?」
時刻は夜の8時頃、店内のテレビではゴールデンタイムの番組の音声が流れていた。
「俗に言う霊とかお化けってヤツさ。ホラ、あそこ。」
マスターが指さしたのは窓際のテーブル席。
何も見えないと伝えると、「しばらく見ててごらん。いい人だから。」と言うばかり。
1分ほどだったろうか、本当に誰かいるんじゃないかと思いながらカウンターテーブルを拭きつつ見ている
と黒いモヤみたいなものがテーブル席にあった。回り込むと驚くことに人の形をしていて、テーブルの上に両手を置いてる感じで座っている。
「ん?」と小さく声が聞こえたような気がしてほぼ無意識にお辞儀をするとそのモヤも視界の端で手でも振ったのか横に揺れていた。
初めて見た、霊的な何かに固まっているとマスターは「あぁ、やっぱり見える?気のいい常連さんだよ。」
とまるでそこに人がいるかのように話してくれた。
9時頃にはあがる日だったので9時前に帰る準備をしていると「そういえばOくんって××の家に住んでるでしょ。あそこ、事故物件だけど悪い人はいないから安心するといいよ。」と突然格安で購入した一軒家の事を言われてまた驚いた。
「それじゃ、今日もありがとうね。明日も頼むよ。それと、ルームメイトと仲良くね。」
会話は続くことなくその日は家に帰ったが、それ以降、確かに自宅に自分以外の誰かが何人かいるような気もしたし、小さい頃から振り返ってみるとよく考えるとアレは霊的なものなんだったんじゃないかという不思議体験がいくつか思い浮かんだ。
1週間ほどした後、昔からお世話になっている土地神の神社の神主さんに話を聞くと、あの喫茶店のある場所は土地的に色々来やすいのだとか。それでいて悪いものが寄り付かないのはひとえにマスターさんの人柄とかによるものだそう。
その喫茶店は今ではスタッフも増えているが、やはり何かしらの霊的体験をする人が多めな気がする。
マスターの人柄が伝わってきます。
コメントありがとうございます。マスター、たまにピアスバチバチの少年少女にケーキタダで食べさせたりしてるのでやっぱり人を惹きつけるものがあるんでしょうね。
人柄を良くしようと思った。