そう言った後母親は湯飲みのお茶をすすり、皺だらけの顔で物言わぬ女性の顔を覗きこむ。
それから今度は正面に座るケンちゃんの顔を見ると、
「ケン坊、ありがとうな、わしは親孝行な息子を持てて幸せもんじゃあ。これで母ちゃんも安心してあの世にいけるわ」
と満足げに呟くと、ケンちゃんは微かに笑みを浮かべながらうなずき、
「母ちゃんそんな悲しいこと言わずに、これからも長生きしてくれよ」と言うと手を伸ばし、母親のか細い手を握った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
その時既にビルの前には1台のパトカーが停車しており、刑事が制服の若い警官を伴い店舗のドアを開けるところだった。
【了】
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「洗濯屋けんちゃん」なら知っていますが‥
文章うますぎます。ひきこまれました。