変なアルバイト「池の掃除」
投稿者:赤壁二世 (13)
宝石の類の無いシンプルなデザインだが、何か文字が彫られている。
元々ゴールドだったのかは分からないが、土色に錆びているような、もしかしたらシルバーが錆びついただけのような色味になってた。
「欲しいなら貰っとけ」と先輩は言うが、さすがにここまで状態が悪いと要らないような気がする。
だが、Aは少し悩んだ末にとりあえず作業着のポケットに突っ込んでた。
だが不思議な事に作業を進めてると他にも指輪が二つくらい出てきた。
ちょっとした宝探しみたいな状況に俺たちは「他にも何かあるかもな」って内心ワクワクし始めてた。
結局それ以降は何も発掘できないまま、池の泥掃除の4割くらいを終わらせて昼休憩に入る。
4人で作業しているからか、この程度の広さなら一日で終わりそうな速度だ。
暗くなる前に終わらせたいものだが、これで2万が貰えるなら優良バイトだ。
「先輩、このバイトって毎回あるんですか?」
俺はこんなバイトだったら定期的にやりたいと思い先輩に聞いてみた。
「うーん、俺も世話になってる先輩に頼まれてるだけだからな。下請けの下請けみたいなもんだけど、金払いいいからやってんだよ。俺の経験上、月に一回あるかどうかだけどな」
「そうなんですね」
月に一回か。
これだけ金払いがいいバイトがそうそう連続するわけがないか。
それにこの池だって一回掃除すればしばらくは放置してもいいだろうし。
先輩の言葉に納得して、俺は冷えた弁当を平らげた。
そして、午後の作業の開始だ。
午後になるとさすがに簡単な作業は慣れてきて効率も上がっていく。
だが、一番大変なのが掬い上げたヘドロや泥の山を、また別の場所に廃棄しなければいけない。
それこそ工事現場の手押し車みたいな道具で一旦山盛りに積んだのを敷地内の一角に集めるから力作業が続いた。
単純な泥掬いに胴体が痛くなってくるが、午後はどの作業も体力的に追い詰められていく過酷なものだった。
あらかた池の底のヘドロが無くなった時、先輩から一旦水を流すから排水周りに溜まった泥を掃除するように言われた。
排水の周りには自然のゴミ以上に人工的な廃棄物の破片が集まってて、特に汚い。
それをスコップで掬い地上に放る。
そうやって配管周りを綺麗に整えると、菅の接続部の口に網が引っ掛かってるのが見えた。
最初は配管の口にでも網を張って大きなゴミを集めてたのかと思って、何も考えずに網を手で引っこ抜いた。
結構長めの網が丸まって蛇みたいにニュルニュルと出てきた。
が、泥まみれの網に何か長細いものが絡まってる。
何だろうと思い、もう片方の手で摘んで引っ張ってみると、長い髪の毛だった。
髪が何十本、いや、何百本と纏まっていた。
kamaです。いいですね。ゾクゾクしました。
面白かった
闇が深いな
読みやすいです。ひきこまれました。
うーん。オチが欲しかったなー