あのときの友達
投稿者:take (96)
短編
2023/03/23
12:01
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友人のE君が小学生の時の話です。
いつも仲の良いG君と休み時間に校庭で遊んでいて、チャイムが鳴りました。
教室へ戻ろうとするE君を、まだ間に合うよとG君はしきりに引き留めるのです。
そのうち、他の生徒たちは校舎内へ入ってしまい、二人だけになりました。
「やばいよ、行かなきゃ先生に怒られるって」
そんなE君の腕を掴んで「まだ大丈夫」と、さらに引き留めようとします。
改めてG君の顔を見ると、G君のようでG君ではない、作り物のような顔に見えたそうです。
「え?」
E君が立ちすくむと、彼は無表情になり、すごい力で引っ張っていこうとします。
足を踏ん張っても、じりじりと引きずられていくのです。
なんとか腕を振り解き、教室に駆け込むと、もう授業は始まりかけていました。
「なにやってたんだ、遅いぞ」
先生に注意され、
「ごめんなさい、G君が……」というと、
「Gは今日、休みのはずだが?」
と、先生が首を傾げます。
そこでハッと気づきました。
G君は熱を出したとかで、朝から学校に来ていなかったのです。
なぜG君が学校にいることを、いままで不思議に思わなかったのか、
どんなふうにして、校庭へ誘われ、遊んでいたのか経緯をまったく思い出せません。
次の日、G君は学校に出てきましたが、変わったところはありませんでした。
「あれは何者で、どこへ連れていこうとしてたんだろうなあ」
E君は掴まれた腕の感触はいまでも忘れられないといいます。
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