爺さんの遺産(加筆修正版)
投稿者:kana (210)
アイツとは、高校時代の悪仲間だったTのことだ。
もっとも高校時代と言ってもTはとっくに高校を中退していたけれど。
やつは地元の工務店に務めながら、週末には俺らと改造バイクで駆け回った仲だ。
深夜に心霊スポットまで行き、スプレーで落書きしまくったこともある。
あいつなら度胸も据わってるし、警察も幽霊も屁とも思っていない頼もしいやつだ。
そんなTも今では工務店の社長だという。これはもう今回の依頼に最適じゃあないか。
懐かしさもあるし、直接会って話をすることにした。
地元でもうまいと評判の居酒屋に一席設けて、酒を交わしながら昔話に花が咲く。
相続した家をゲストハウスにするという話もノリノリで聞いてくれた。
そこで、駐車場の件をやってほしいと頼み込んだ。
もちろん、最初の業者が祟られるからと断って来た話もした。が、Tはガハハと笑い飛ばして
「そんな肝っ玉の小さいことでやってられっかよ」と強気な口調で言ってくれた。
よかった。やっぱりコイツならなんとかしてくれそうだ。
深夜まで飲んだオレたちは、酔った勢いそのままに、Tの業務用のバンに乗って例の畑までやって来た。ライトに照らし出される石の祠。
おもむろにバンの後ろから大きなハンマーを取り出したかと思うと、Tは祠の前に立ち
「オラァよーく見とけよ」
と言うと、大きくふりかぶってハンマーを祠に叩きつけた。
にぶい音と共に崩れ落ちる祠。そして中から現れる頭が二つある道祖神。
今度は横から大きくふりかぶったと思ったら、道祖神の二つの頭が遠くまで吹き飛んでいくのが見えた。
「いゃっほぉぉぉぉぉぉ!!」二人で叫んだ。
・・・・・・
・・・さて、ここから先は実はあまり人には話したくないのだが、
もうここまで来てしまったら全部話すことにしよう・・・。
結局Tのおかげで駐車場は完成したのだが、お金はまだ払っていない。
いや、たぶんもう払わなくて良い気がする・・・。
駐車場ができあがってから少しして、Tの住宅兼事務所から火が出て全焼。
・・・Tも、Tのカミさんも、10歳になる息子も、みんな亡くなってしまった。
全焼したのはそこだけではない。リフォーム中だったオレのぼろ古民家も燃えてしまった。
消防の話ではおそらく放火だろうとのことだ。
順番的にはまず古民家が燃えて、同じ日の深夜にTの工務店が燃えている。
kamaです。また画像入れるのに失敗しました。
なんかコツでもあるんでしょうか。
カラスの写真、入れたかったな・・・。
いつも読んでます また怖い話お願いします
↑kamaです。ありがとうございます。
また読んでくださいね。