待ってるよ
投稿者:わばこん (1)
まるで自分があの猫になったかのように、嬉しくて嬉しくて涙が溢れて…今考えるとこれも少しおかしいかもしれません。
自分が自分でない様な不思議な感覚。
向こうもずっと謝りながら『お金ができて…家に連れて帰ってやりたくて』と話をしてくれました。
『夢にずっと出てきていて…ずっと泣いてるんです。こっちをみて。それでもう居ても立っても居られなくてなんとかお金を借りて…ごめんなさい…』
『いいんですよ。お待ちしていますね』と話しながら、少し埃を被ってしまっている骨袋を思い出していました。
それから後日、飼い主さんと旦那さんが霊園に現れました。そして納骨堂に一緒に入ると、ふたりは吸いよせられるように一つの骨袋に注目していました。
勿論ふたりはどのご遺骨が猫ちゃんかわからないはずですし、そもそも骨袋の色なども教えていないため分かるはずがないのです。
しかし、2人の目はしっかりとその猫ちゃんを捉えていました。
2人は泣きながら『ごめんね、ごめんね』と骨袋をかかえ、ぎゅっと抱きしめてくれました。
ご遺骨をみると、一年経っても綺麗なお骨が残ってくれていて、『飼い主さんに自分の姿をきちんと見せたかったのかもしれないな』と感慨深いものがありました。
飼い主さんは手にしっかりとお財布を握っており、今度はきちんとお支払いを済ませて本当に猫ちゃんを連れて帰る事ができたのでした。
そしてその日の夜から納骨堂の異常なライトの割れや音の雑音はびっくりするほどピタっと止んだのです。
あれはあの猫ちゃんが『待ってるから早く来て』とずっと言っていたのかなと、良かった良かったと一安心しながら今日も納骨堂の点検をして、夜の鍵をかけています。
基本的には霊やスピリチュアルを信じてはいなかったのですが、この一件依頼、体はなくなっても『こころ』や『きもち』は残り続けるものなのかもしれないと感じる様になりました。
『寂しい』『悔しい』『悲しい』は残りやすいのかもしれませんね。
自分の亡くなった後はどこにこころを置くのだろうなどと考えながら、前向きに今を大切に生きていこうと思うのです。
ご冥福をお祈りします。
悲しく切ないが最後はいい話でしたわ。