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不思議体験

ぴさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

運比べ
長編 2023/02/25 16:15 3,525view

その子と初めて出会ったのは、学校の校舎裏でした。

私が通っていた小学校の校舎裏には、大きな花壇がありました。

たまにおじさんが手入れをしていることもあるのですが、しかし冬の寒さで枯れてしまったのか、私がその子と会ったときはその花壇には何の花も咲いていなかったです。

その花壇で、しゃがみこんでうずくまっている子供がいました。

しゃがみこんだままずっと動かないので、体調が心配になり、私は知らない子なのにおそるおそる「大丈夫?」と声をかけてみたのです。

私に話しかけられ、ひょこっとこっちを向いたその子はトレーナーを着た男の子で、まだ背は小さかったです。

そしてその子は初めて会ったとは思えないくらいの無邪気な笑顔で私に、「ねえ、運比べしよう!」と誘ってきたのです。

放課後、これから塾に行く予定があった私は「用事があるから無理」とはっきり断りました。

見たところ体調が悪そうというわけでもなかったので、勘違いだったかと安心してそこを離れました。

ちらっともう一度見たら男の子がこっちに手を振っているのが見えました。

なんだかすごく人懐っこい子で、この日から私はこの子によく話しかけられるようになりました。

それまであまり下級生と交流がなかった私ですが、なんだかその子とは不思議なくらい縁がありました。

その日から窓の外を見たらその子が走っている姿を見かけたり、休み時間や放課後に友達と遊具で遊んでいたらその子がやってきたり、とにかくよく会いました。

そして私を見つけたらその子は一目散に駆け寄ってきます。

正直可愛い弟みたいな感じで嫌ではなかったです。

ただその子がいつも誘ってくる遊びは少し奇妙でした。

その子に会うと必ず「運比べしよう」と誘われるのです。

運比べと言われても、私には具体的に何をするのかさっぱり分かりません。

だから聞いてみたら、どっちが運がいいか競う遊びとだけ説明されました。

子供ながら、その遊びの何が面白いんだろうと思いました。

運が良かったからといって、だからなんなんだと思ったのです。

まあ下級生で流行っている遊びだし、付き合ってあげてもいいかなと思って、その遊びに参加することにしました。

「え、いいの?」とその子は驚いていました。

そして「じゃあ、放課後校舎裏で待っててね」と言って、駆けていったのです。

その日は塾もない日だったし、少しぐらい遊んであげてもいいかと思って、私は約束の時間に校舎裏で集まることになりました。

校舎裏に行くと、あの子一人で待っていました。

そしてランドセルをしょったまま、一緒に学校から帰りました。

帰り道から運比べは始まっていて、今から10番目に来る車が何色か当てて運比べしようと言いました。

私は無難に「黒」と言ったのです。

そしたらその子はいきなり「黄色」と言い出しました。

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