叫ぶおっさん

これはほんの数ヶ月前の話だ。

俺は建築の仕事をしている。

いつもの様に同僚Ｔと2人で作業車に乗り込み隣

町まで車で高速を走り現場に向かうのがルー

ティーンだ。

最寄りのインターから高速に乗る。

妻が握ってくれたおにぎりを頬張る。

今日は梅か。

そんな時、高速に掛かる小さな橋をくぐった時

に運転するＴが

Ｔ「またおったわ」

俺「は？何が？」

Ｔ「いやぁ、今くぐった橋の上におっさんが傘

さして突っ立っとんよ」

助手席から振り返って橋を見るが後ろからは人

影すら見えない。

橋は小さいが結構高い位置にある。

よくある高速に掛かる一般道の橋だ。

Ｔ「しかもおっさん、雨も降ってないのに傘さ

して柵にしがみついて何か叫んどるんよ。」

俺「…」

俺「そりゃ良く居るウォーキング族の健康法と

かじゃね？」

てな感じで特に気にとめる事もなく現場へ向か

った。

また次の日、いつもの様に高速に乗り、嫁のお

にぎりを助手席で頬張る。

今日は昆布だ。

するとＴが例の橋の手前で

Ｔ「ほれ見てみ！」