2階に上がってはいけない
投稿者:ねこじろう (147)
「泣き声、どこから?」
「多分、お2階からと思う。
でね階段の下まで行って耳を澄ましたらね、何か凄く悲しそうな泣き声だったんだ。
兄ちゃん、やっぱり2階には誰かいるよ」
その時は妹の話に驚いたような素振りをみせたのだが、実は俺も以前声を聞いたことがあった。
ただ俺の場合は泣き声というより、呻き声のような感じだったな。
時刻はもう夕方近くにはなっていたと思う。
その時家には大人たちはいなかったから、俺は妹と一緒に階段のところまで行ってみたんだ。
2階に向かって恐る恐る「お~い」と呼び掛けてみる。
最初のうちは何も聞こえなかったが、何度となくやってると微かだが何か呻き声のようなのが聞こえてくる。
一体何がいると言うんだろう?
俺は妹と顔を見合わせると互いに頷き、どちらからともなく階段の一段目に足を乗せる。
そして御札の付いた荒縄を潜ると、2人でゆっくり階段を登りだした。
階段を登りきって見えてきたのは、奥まで伸びる黒光りした廊下と、それに沿って並んだ幾つかの襖の入口。
ウウウウ、、、オオオオ、、、
不気味な呻き声は奥まった暗闇から聞こえてきていた。
俺は妹を随えて、ゆっくり薄暗い廊下を進んでいく。
やはり「声」は一番奥にある部屋からのものだった。
いよいよその部屋の前に立つと、俺は左手で妹の手を握り右手で襖の取っ手に手を掛け、そっと開いていく。
そして途中まで開けた時、あっと息を飲んだ。
襖のすぐ向こうには牢屋のような木製の格子があり、行く手を拒んでいた。
俺は妹と顔を見合わせると、緊張した面持ちで格子の隙間から中を覗く。
そこは8帖ほどの殺風景な畳部屋だった。
天井には安っぽい裸電球がぶら下がっているが、灯りは灯されていない。奥まったところには白いカーテンの下がった窓がある。
そこから漏れる午後のけだるい陽光が、室内を不気味に浮き上がらせている。
窓際には木製の机が一つあった。
他には特に目立った家具などはなく、板張りの床はがらんとしていた。
─何だ、なにもいないじゃないか
と少し拍子抜けして隣に立つ妹に視線を移すと、
「お兄ちゃん、、、」
洒落怖のリゾートバイトを思い出しました
子供には,正直言わなと後々後悔すんのは、親御さんだぜ