それでも先輩が「嘘つくなよ」とか「からかってんの?」等と野次を飛ばさないのは、俺達がそういう幼稚な冗談を言う性格ではないと理解しているか、それなりに信用している証拠なのだろう。
ただ、目の前の光景に俺達自身理解が追い付かずに何も発言する事が出来なかったせいで、沈黙と羽虫が飛び交う音だけが鳴っていた。
そんな俺達の胸中を察したのか、先輩は「じゃあ、その仙人って人に会いに行こうぜ」と肩を叩く。
正直、仙人に会いたくは無い。
昨晩の鍋と言い、俺達にこの小屋を教えたりと、仙人の目的が分からなかったからだ。
それでも先輩の言葉に乗って仙人に会いに行く決心がついたのは、安心が欲しかったからだろう。
小屋を後にした俺達は、仙人が根城にする古びた平屋の前にやってきた。
穴だらけの鶏小屋。
雑な板張りで補修された外壁。
日光を反射させるすりガラス。
そんな廃屋と化し風化しかけた玄関を叩き「すみませーん」と仙人を呼び出す。
あまり会いたくないが、井戸の骨について知っているのは仙人の他に存在しない。
しかし、何度呼び続けても仙人の反応は帰ってこなかった。
まだ寝てるのだろうか。
そんな疑問を抱きながらも先輩が引き戸に手をかけると、建付けの悪い引き戸はガララとガラスを揺らして開いた。
先輩「開いてるぞ」
まあ、この村には仙人しか住んでいないのだから戸締りの必要性は無いのかもしれない。
とは言え、今朝まで見ず知らずの俺達が宿泊していたと言うのに不用心には変わりないが。
すると先輩は少し悪い顔をして「上がるか?」とニヤニヤしだす。
流石に仙人の家に黙って上がるのは気が引けた為、三人掛かりで「マジ殺されますって」と引き留めたのだが、好奇心に呑み込まれた先輩を止めるには至らなかった。
得体の知れない仙人と先輩を二人きりにする事を危惧した俺達は、ギィギィと廊下を進んでいく先輩の後に続き中へ上がり込む。
昨日仙人に案内された居間を覗けば、相変わらず足の踏み場もない程ゴミで散乱していたが、そのゴミ山の中で人が一人包まった様な寝袋を見つけ、俺は「うお」と肩を跳ねさせた。
その寝袋の中身は恐らく仙人だろう。
俺達の気配に気づいて突然起きて襲い掛かってこないよな…そんな事を考えて身構える俺。
その傍らで、先輩は俺達に声を出さない様にと人差し指を立てると、忍び足で寝袋へと近づいていく。
その様子をハラハラした面持ちで見守る俺達だったが、先輩は寝袋の上部、仙人の頭があるであろう位置の布地を掴み、もう片方の手でカウントダウンのハンドサインを立てる。
そして、立てた指の数が三本、それを一本づつ折り畳んでいけば、一気に寝袋を引き剥がした。
流石先輩、度胸があるなと思いつつ、先輩が引き剥がした布地が飛んでいくのを眺めていると、次第に寝袋の中身が露見される。
だが、次に聞こえて来たのは先輩の絶叫だった。
先輩「うわあああっ!おおおおっ!?」

























すげえ
めっちゃ読み応えありました
こういうのもっと読みたい
これ最高
描写がすごい
これほん怖とかの実写で見てみたいな
想像で吐き気がやばかった。怖かった。
漢字で書いた方が読みやすい言葉と、ひらがなで書いた方が読みやすい言葉がある。って文学者が言ってた。
本当に理解しているエンジニアは説明の時に専門用語を使わない。それと似ている
読み応えあるしきちんと怖い
大学二年生で平成後期生まれって書いてるから飛び級でもしたのか?と思ったけど後半って書きたかったのかな?
俺も気になった
2023年1月に投稿で夏休みの話ってことは、どんなに若くても2022年夏に大学二年生=2003年(平成15年)生
平成後期生まれとは言わないわな
細かいかもだけど、こういうとこで1回気になると一気に没入感無くなるからもうちょい設定練っといてほしい
↑
わかる。設定に引っかかると萎えるよな
俺は「排他的であればあるほど研究意欲が沸き立つ」で「オカルト好き」なのに完全に他人任せで調査に関わらない先輩が気になった
翌日迎えに来れるなら別の重要な調査と被ったとかじゃないだろうし
語り手達に状況を再確認させる人物がストーリー的に必要だったのは分かるけどちょっと萎える
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おもしろかった。