サイコパス
投稿者:ねこじろう (149)
ゲンちゃんは面倒くさそうに答えた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ブーーーー……ン!」
スーパーを出た二人はセスナ機の真似をしながら広い駐車場をかけ抜け歩道を真っ直ぐ走り、交差点角にあるコンビニに立ち寄りコーヒーを買うと、店の入り口横に並んで座り、一緒に飲み始めた。
駐車場には、車は一台も停まっていない。
店内にも客の姿は見えない。
「なあ、ジュン、ええ天気やな。こんな日は何や優しい気持ちになれるもんやな」
「うん。ほんまにそうや」
「なあ、ジュン、実はわいな、さっきコーヒー買った時、恵まれない人たちのために募金したった。
どや、偉いやろ」
「わあ、偉いなあ。今度わいもしよ」
ジュンくんはそう言って、眩しげに空を見上げた後、目の前のアスファルトに視線を移した。
二人の目の前のアスファルトを、1匹の大きな蜘蛛がヨタヨタと横切っている。
ジュンくんがにやつきながら足を伸ばし、その蜘蛛を踏みつぶそうとした。
するといきなりゲンちゃんは彼の右頬にビンタを食らわすと、
「かわいそうやから、やめえや。一寸の虫にも五分の魂やで」
と言ってジュンくんの顔を睨みつける。
彼はきまり悪そうに頭を掻くと地面に唾を吐き、コーヒーを一気に飲みほした。
すると、
黒い大型のベンツが大げさにエンジンをふかしながら駐車場に入ってきた。
それは座っている二人の目の前にバックしてきて停まり、大きく一回エンジンをふかす。
ゲンちゃんは大げさに咳き込むと立ち上がり、ツカツカと車の運転席の横まで歩くと、運転席側のガラスをトントンとノックした。
ウィィィーン、、、
パワーウインドウがゆっくり下がりだし、黒のダブルのスーツを着た恰幅の良いパンチパーマの男が、上目遣いでゲンちゃんをジロリと睨みつけて凄む。
「なんや、われ、何か……」
言葉はまだ途中だった。
ゲンちゃんは尻のポケットから素早くサバイバルナイフを出して、男の首筋を躊躇せず鋭い刃先でシュッとなぞった。
同時にウィンドウの閉じるボタンを押す。
ウィィィーン、、、
ゆっくりと上がっていくウィンドウの向こうで男の首筋からピューッと赤黒い血が勢いよく、フロントガラスに飛び散った。
血ついとったのは内側やないんかい?
いや、捕まるでしょ。
理屈だけで警察は犯人探ししてるわけじゃないんだから。