事件記者　朽屋瑠子

リーダーは少しオーバーである。本当の所、エレファントガンと呼ばれるのは
対戦車ライフルのような銃であり、朽屋のライフルはそれほど巨大なものではない。
某日本の銃器メーカーが海外向けに製造しているライフルを、朽屋に合わせてカスタムしてあるのだ。

「本当なら、長距離で撃ちたいところだけど、ハハ、もう接近戦になってるわ。
・・・・リーダー、ドアロックして、動かないでいてね」

「ハ、ハイ」

朽屋が長尺ライフルを下に向けながら、戦場に入って行く。

ケルベロスは見る間に人間を捕まえては、ひとクチ、ふたクチで飲み込んでいく。

ライフルの照準をケルベロスに向ける朽屋。

「地獄の番犬といわれたお前が、ノテさんを食って人間の味を覚えたか!!

地獄に帰してやるから大人しくしろ!!」

ケルベロスの目がギラリと光って朽屋を見る。こっちに気が付いた。
今にも飛び掛かろうとしたその瞬間、
ダーン、ダーン、ダーンと三発の速射。目にもとまらぬ速さと正確さで、
ケルベロスの頭１つに１発ずつ、朽屋の弾丸が突き刺さった。

まず中央に一発。これでケルベロスは腰が抜けたように地面に伏せた。
慌てて起き上がろうとして伸びた右の頭に１発、最後の力を振り絞って吠える左の頭に１発。

ケルベロスは沈黙した。
ジムニーに戻る朽屋。

「や、やったのか!お嬢ちゃん!」

朽屋はぐったりした様子でコクっとうなずくのがやっとだった。
無線に手をかけ「・・・クチヤ・・・状況終了・・・」そう言って、
ライフルをかかえたまま居眠りを始めた。

「えっ・・・寝ちゃったの?・・・あぁ、そうだ、和尚助けなきゃ!!」

和尚救出のため、教会内に侵入するリーダー。

「うわぁぁぁ・・・・」

血の海、食い散らかされた人の体、そして巨大な魔獣の遺体の横をすり抜け、
講堂内に侵入するリーダー。
彼はすぐに柱に縛られた和尚を発見した。どうやら気を失っているらしい。
ポケットからサバイバルナイフを取り出し、縄を切る。