僧伽(サンガ)
投稿者:四川獅門 (33)
同僚の気遣いはありがたいが、内心複雑な気分だった。
紀子さんは白いにごり湯を手でかき混ぜる。
すると、紀子さんの手首がキュッと掴まれた。
驚いて浴槽から手を出し、風呂のお湯を抜く。なんの変哲もない浴槽の底。
その日はシャワーだけ浴びた。
風呂上がり、ドライヤーで髪を乾かしていると、口の中に違和感がある。
鏡で口を見ると、舌先に髪の毛がへばりついている。
指でつまんで引く。
スルスルと、50cmほどの黒髪。
紀子さんは茶髪のショートヘアだ。
次の日、紀子さんが仕事の休憩時間に食事をしていると、携帯電話が鳴った。
画面を見ると、息子の担任の小林先生だった。
嫌な予感がした。
「はい、桐島です」
『すいません、新一君が階段から落ちて怪我をしてしまって━━』
「え!?」
『大きな怪我ではないんですが、腕が腫れているので念のため病院に━━』
急いで上司に事情を話すと
「今日はもう早退して、あとは全部やっとくから」
そう言ってくれた。
学校まで歩いて20分程の道を紀子さんは走った。
『死ねよ!!約立たず!!』
元夫の言葉と、新一君の泣き顔がフラッシュバックした。
不安と情けなさ。無力感を感じた紀子さんは泣いた。
涙を拭い走った。
小学校の前には担任の小林先生が立っていた。
「本当にすみません。新一君は保健室にいますので、案内します」
2人は早足で職員玄関から保健室へと向かった。
保健室につくと、新一君はケロッとした顔で養護教諭と談笑している。
「あ!ママー!」
七面山ということは日蓮宗か。
私も坊さんやっておるけども(日蓮宗ではない)、こういう話は身の回りで聞くことがある。
この手の話は仏教の教義柄、対外的には公言されないけども、お寺の世界なら、このエピソードは実話でもおかしくないくらい有り得る話。
1番上のコメント主様へ。
お坊さんが、このような話を読まれている事に少し驚きました。お読み頂いてありがとうございます。
七面山が日蓮宗というのも、書いた私自身、知りませんでした。大変勉強になりました。
先日、宗教は違うのですが、加持祈祷に救われました。
神や、仏につかえる方々には感謝や尊敬の意があります。
この場を借りて、お礼申し上げます。
する夫