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ヒトコワ

GANTさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

ストーカー?変な車に追い回されて逃げきった話
長編 2022/12/12 11:57 4,367view
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某地方都市に住んでいます。普段は会社員をしているので、なかなか夜出歩くことはないのですが、友人が迎えに来て欲しいというので、車を出すことにしました。
友人はなんでも売っている某大型スーパーで買い物をしていると言うので、私は治安が悪そうだなと思いながら車を走らせました。
深夜11時なこともあり、人気はまばらでしたが、普段お昼には見る事のできない感じの派手は客層だったと記憶しています。

私は友人と合流して、適当に買い出しを済ませて、車へと戻りました。
日付けが変わるか、変わらないかぐらいだったと思います。
近くのゲームセンターが閉店間際だったのか、男の集団が一斉に外へ出てきました。
車内ランプを点灯させて、何かを話しているようでしたが、友人が「気持ち悪くなってきた、早く帰ろう」と言うので、私達はその場を後にしました。
すると数台の車が、私の車の後に続いて外に出てきました。どの店も閉店間際だったので、当たり前なのですが、友人が真っ青な顔をして言いました。

「後ろの人、知り合いかも・・・」それを聞いて私は「え?偶然?!」と振り返りそうになったのですが「ダメ後ろみないで」と怖がっているので、一旦車を停めようとすると「絶対に停まらないで」と無茶を言ってきました。
なんでも「元カレがいる」と震えながら言うのです。「ドアを開けられたら怖いから、お願いだからこのまま走らせて」と言われ、信号機がない裏道を進みました。
私の車はパーキングにギアを入れると自動で鍵が開く仕組みになっているので、下手に停まったらヤバイとどこかで認識していました。

正直、人目のあるファミレスなどに入った方がよかったのではと思いましたが、私は友人が落ち着くまで、裏道を走りました。

車が後ろからずっとついてきていることは認識できました。ライトがいつまでもついてくるのです。裏道で1本道なのですが、この田舎でここまで同じルートを走る車はいないので、友人を追いかけてきているのだと確信しました。「なんで元カレがなんで追いかけてくるの?」と尋ねると「怒らせちゃったみたいで。だから、1人で家にいたくなくって」と泣きだしてしまい、どうしていいか分からなくなりました。

私はとりあえず、停まることもできずに、ひたすらアクセルを踏み続けました。
私は軽自動車に乗っているので、あることを思いつきました。狭い道に入ったら、もしかしたら撒けるのでは?と。それで、一か八かで狭い道を進みました。カーナビを見ながら運転していたので、行き止まりに当たって進めなくことはないだろうと標識を守りながら進みました。
この状態で、友人を自宅に送り届けるわけにもいきませんし、何も起きていないのに警察に駆け込んでも対処はしてくれないと記憶していたので、ひたすら車を走らせました。

友人は申し訳なさそうに「巻き込んでごめん、頼れる人が他にいなくて」と泣いていました。
「いいんだけど、とりあえずどこまで行けばいいんだろう」と言うと、「私の家は突きとめられてるから、適当に撒けたら駅でおろして」と言われました。
友人はいつもよりも多めの荷物を持参していたのですが、それはキャンプの道具ではなく家出用のバッグだったようです。
「しばらくホテル転々としようと思ってる」と告白されました。
なんでも常に見張られている状態で、常に人目につくところにいなければならなかった、というのです。
元カレがその中に含まれているようでしたが、何故このようになってしまったのかは聞けませんでした。

元カレ1人が相手ならまだしも、集団で1人の女の子を追い回して何をしているのだろうと思いましたが、ただ事じゃないので、とりあえず隣の市の駅まで送ることにしました。それまでには相手は諦めるだろうと思っていました。

しばらく道なりに走っていると、後ろからついて来ている車はいなくなりました。始発は6時頃の予定だったので、友人と私は24時間やっている某ファーストフード店に入り、お茶をしながら詳しく話を聞きました。
「実は、元カレと別れ話になった時に、いろいろモメて殴られたりしたんだけど、友達まで使って脅すって」としどろもどろになりながら、友人は詳細を話してくれました。
別れ話のもつれにしては、相手の男は卑劣だなと思ったのですが、数人と同時に交際していたと告白されて、正直戸惑いました。彼氏の友人たち複数と寝たそうで、その人たちにストーカーされていたそうなのです。
「もうアンタとも関わらないから、忘れて欲しい」と言われて驚きました。
さすがにあの変な車に追われたので、正直関わらなくっていいのならと安心してしまったことは事実ですが、根はいい子なので正直戸惑いました。
「今回のことは本気で私が悪いから」と泣いていました。

始発の時間を確認して、私は駅に友人をおろしました。
友人は大き目のバッグを二つ抱えて、「ありがとう、ずっと感謝する」と言って、1万円を私に渡して立ち去っていきました。
その後、隣の市の駅付近をフラフラ運転していると、あの車に遭遇しました。反対車線で私の車には気付いていない様子でした。
私は鳥肌が立ったのですが、もう関わるのは辞めようと、自宅に向かいました。
久しぶりに徹夜したせいか、どっと疲れてしまいそのまま眠ってしまいました。その日以降、その子から連絡が来ることはありませんでした。

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