落ちてくる狸の置物
投稿者:ぴ (414)
その子が明日家の近くで恋人と待ち合わせするらしく、なるべく長く一緒にいたいから1日だけ泊まらせてほしいと頼みこんできたのです。
私は一人暮らしだったし、その日は仕事が休みだったので、まあいいかと思って泊まらせてあげました。
二人でバイトで一緒だった同僚の懐かしい話やその同僚が今何をしているかという話で一通り盛り上がったときに、急にテレビ台から「バーン」というすごい物音がしたのです。
二人してびくっとして、飛び上がりました。
最初は何かが爆発した音だと勘違いするくらいに、ものすごい物音でした。
慌てて音が鳴ったところを見てみたら、あの狸の置物が落ちていたのです。
こっちを向いて倒れており、まるでこっちをじーっと見ているように見えました。
すぐに置物をテレビ台に戻そうとしました。
そしたら一瞬この置物がものすごく重くて驚いて手を放しました。
もう一度持ったらいつもの軽さで、難なくテレビ台の上に戻せたけど、なんだか変だったし気持ち悪いと思ってしまいました。
さっきのバーンという激しい音がこの置物の落下音とは思えなかったので、友達と二人して部屋の中をいろいろとチェックして確認しました。
けれどやっぱりほかに物音がした可能性があるものが見つからなくて、二人で首を捻ったのです。
しかしそれでも、音の原因がこれとはどうしても思えず、ほかの場所もいろいろ探したのですが、他に物音がしそうなものは見つからなかったです。
その日はなんとなく落ち着かないまま友達と就寝しました。
そして翌朝見たら、あの狸の置物が部屋から無くなっていたのです。
宿泊させてもらった恩を感じていたのか、友達も一緒になって探してくれましたが、30分くらい探してもこの狸の置物は見つかりませんでした。
無くなるのであればそれはそれで良かったのです。
けれど昨夜からいろいろとあったので、急に無くなるのが不気味で、つい友達も巻き込んで、本気になって探してしまいました。
それでもどこにも無くて、内心怖いなと思っていました。
友達は最後まで置物探しに付き合ってくれたけど、時間がきてしまって午前中から恋人の家に遊びに行く予定だった友達を駅まで送ってあげました。
こうして友達が帰って、少しだけ寂しさを感じながら家に戻ってくると、はっとしたのです。
だって帰ってきたら、あれだけ探して見つからなかった狸の置物がテレビ台の上に戻っていたからです。
私は見た瞬間ぞくっとして「これは駄目なやつだ」と確信しました。
なぜならこれはそのまま、呪いの人形みたいな話の流れに思えたからです。
私はぞくぞくしました。
この置物をこのままにしておいたらまずいと思いました。
すぐにでも見えない場所に置いておきたくて、置物を布の袋の中に入れて押し入れに隠しました。
そのとき置物がいつもよりズシリと重く感じたのは気のせいじゃなかったと思います。
置物コレクターの友達に電話し、これまでの経緯を話して引き取ってもらおうと思いました。
せっかくお土産にくれたものを返すというのに、友達は怒ることも、気を悪くすることもなく、快く引き受けてくれました。
ぴさんは毎日毎日すごい数の投稿数ですね。どこかすらそんなにたくさんネタを仕入れてくるんですか?
↑誤字失礼。そのまま投稿されちゃいました。「どこからそんなにたくさん・・・」です。
(#^^#)
木彫りの鮭を咥えた熊は知っているけど狸は見たことはないですね。