落ちてくる狸の置物
投稿者:ぴ (414)
そして明日仕事が休みだから取りに行くと約束してくれたのです。
私はとてもほっとして、気持ちが楽になりました。
翌朝の明け方4時頃に、私は地響きのような物音に驚いて目を覚ましました。
電気をつけてすぐに周りを見渡すと、押入れから音がしているようでした。
最初は地震か何かと思いました。
しかし、押し入れがズンズンと地鳴りのようになっていて、私は身がすくみました。
押し入れに昨夜あの狸の置物を入れたことを思い出したからです。
あれが動いているんだと咄嗟に思いました。
私はあまりに怖かったので、とりあえず家から出ようとしたのです。
スウェットのまま上着を着て、いつも使っているバッグを握りしめて玄関を出ました。
そしたらバッグの中が急にズンと重くなったのです。
私はなんだか嫌な予感がしながら、おそるおそる玄関の外でバッグを確認しました。
そしたらそのバッグの中に入れた記憶のない狸の置物が入っていて、思わず声もなく持っていたバッグを置物ごと外に投げ捨ててしまいました。
バッグには財布から身分証明書から大事なものをすべて詰め込んでいました。
だけどあの狸の置物が怖すぎてバッグを外に投げ捨てたまま、私は家の中に戻って、布団の中でぶるぶる震えました。
朝までずっと起きていたように思います。
そしてその後職場に仕事を休むと連絡を入れ、例の友達にすぐに来てほしいと家に呼びました。
友達は家に来る途中で、私のバッグを拾ってくれ、家の中に持ってきてくれました。
運が良かったのか誰にも盗まれなかったようで、お財布も身分証明書もすべて無事でした。
だけどその中にあの狸の置物は無かったそうです。
私は友達に付き添ってもらい、おそるおそる押し入れの中を開けました。
そしたらあの狸の置物が入っていた布の袋がそのままありました。
ただ袋があるだけで、中身は詰まっていません。
あの置物は無くなっていたのです。
やっぱり昨日のバッグのあれは見間違いなんかじゃなかったと思いました。
あれから狸の置物を友達と一緒に探したけど、どこにもなかったです。
お土産に買ってくれたあの狸の置物はどうやら北海道の小さな民芸店で買ったらしいです。
そこには他にも珍しい置物がたくさんあったと聞きました。
友達は私の話にかなり食いついていて、すごく興味深そうにしていました。
まるで他人事みたいに私の恐怖体験を笑い飛ばしてくれて、憎らしいところもありましたけどね。
ぴさんは毎日毎日すごい数の投稿数ですね。どこかすらそんなにたくさんネタを仕入れてくるんですか?
↑誤字失礼。そのまま投稿されちゃいました。「どこからそんなにたくさん・・・」です。
(#^^#)
木彫りの鮭を咥えた熊は知っているけど狸は見たことはないですね。