霊感体質の理香先輩
投稿者:take (96)
長編
2022/12/08
21:50
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月日は過ぎ、理香先輩の卒業の時期が近づいてきました。
「先輩が卒業しちゃうと不安ですよ、守ってくれる人がいなくなるじゃないですか」
「いやいや、私は守ることなんてできないって言ったじゃん。だいたい、引き寄せる私がいなくなるんだから、〇〇くんもこれからは安泰ってことでしょ」
「ああ、そういうことになるんですかね? でもやっぱり寂しいですよ」
「まあ、初めて同じ感覚を共有できた仲間だからねー、私もなんだかんだ楽しかったよ」
残り少ない日々を惜しみつつ、よくそんなことを話してふたりで笑い合いました。
私が無事三年生に進級し、理香先輩が卒業したあとは、学校で不思議な出来事に遭うことはなくなりました。
理香先輩は遠方の大学に入学して、就職も結婚もそちらのほうでしたと噂で聞きました。
彼女の行く先々でかかわった人たちの中にも、私のように巻き添えを食った人がいるんでしょうか?
よく考えれば、私のいままでの不思議体験のうち、八割くらいは理香先輩と同じ高校で過ごした二年間に集約されているんですよね。
ほんとに色々とすごい人だったなあ、と感心するとともに、いまはどうしてるんだろう、元気でいるのかなあ、と時々思い出します。
じつを言うと、理香先輩に淡い恋心を抱いていた私は、怖い目にもあったけどあの頃は楽しかったなあ、と、今も懐かしく振り返るのです。
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