エネエネババア(加筆修正版)
投稿者:kana (210)
子供の頃、北海道の片田舎に住んでいたことがありました。
当時、うちの近所には「お化け屋敷」とあだ名される一軒の家がありました。
よくホラーに出て来るような大きな洋館ではなく、古く寂れた和洋折衷の文化住宅で、
小さな庭もついており、鉄柵の小さな門も付いていました。
ただ、庭は荒れ放題で雑草がモウモウと生え、それも枯れて、
そのまま放置されているありさまです。
夜にその家の前を通っても明かりが灯っているわけでもなく、
薄気味悪く枯れた庭木が揺れているだけ。
その不気味さもあって近所の悪ガキ仲間たちの間では
「お化け屋敷」と呼ばれていたのです。
ある日のこと、都会に住んでいるイトコがうちに遊びに来ました。
彼にこのお化け屋敷の話をしたところ、興味津々で目を輝かせ
「よし!行ってみようぜ!」なんてことを言う。
「行ってナニすんだよ?」
「探検するんだよ」
「いや~・・・やだよそんなの」
「あっそう、じゃあオレひとりでちょっと見てくるよ!」
気乗りしないボクを置いて、イトコはさっさとお化け屋敷に向かいました。
しばらくするとイトコが息を切らしながら帰ってきて、
ボクに向かって叫びました。
「エ、…エネエネババァが出た!!」
「えっ???」
ボクは驚いたと共に「エネエネババァ」ってナニ?と、
きょとんとしながらしばらくイトコの顔を見ていました。
興奮して何を言っているのか判らなくなっているイトコを落ち着かせ、
ありのまま今起こったことを聞き出しました。
話によるとこうです。
例のお化け屋敷に向かったイトコは、まず鉄の門の前に立ち、
中の様子を伺いました。が、誰かがいる様子もなく、
風で枯れた草がカサカサ鳴っているだけです。
イトコは鉄の門をあけ、庭に入っていきました。
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