人に憑く神社
投稿者:神助 (16)
大正初期に地元の人が何らかの災害から逃れる為、人間を神として祭った。
所謂『人柱』。けれども結局人間であるが故、神にはなりきれなかった。その神のなり損ないがこの神社には複数祭られている。
そして自分の代わりに神になってくれる人を探してるんだとか。私は半信半疑でおじいさんの話しを聞いていた。
その日はおじいさんにお礼を言ってその場を後にした。それから何年もの月日が流れてそんな事はすっかり忘れていたある日、中学生になったサイクリング好きの息子が、H市まで自転車で行ってみると言うのだ。
「母さん、昔H市に住んでたんでしょ?住んでたアパート教えて、今どうなってるのか写真撮って来てあげる」
懐かしく思いながらGoogleマップで場所を説明する。
その時、私はあの神社の事を思い出した。
「あ、〇〇(息子の名前)、H市にある寂れた神社には絶対に行っちゃだめだよ。」
「え?行かないけど。何で?」
息子にあの怖い体験を話しながら神社の位置を確認しようとした。
「あれ?おかしい、、、」
道は間違いないはずなのにマップに神社が載っていないのだ。「小さい神社だからかな?」少し不思議に思いながらもあまり気にとめなかった。
夕方になり息子がサイクリングから帰って来た。
懐かしいアパートと公園の写真を息子が見せてくれた。あれから変わっていないようだ。
そして息子はこんな話をした。「母さんが話してたあの石垣と竹林の坂道通ったんだけど、脇道なんて一つもなかったよ」
え?そんな筈は。
私が昔行ったあの神社は一体何だったのだろう、そしてあのおじいさん。
今となってはもう分かりません。
鉄道沿線ではどこなんだろう。