気づくべきではなかったこと
投稿者:そぼろ豆腐 (1)
太郎が目を覚ますと、そこは窓のない殺風景な部屋の中だった。
目の前にはテーブルがあり、そのテーブルの上には、膨らんだ封筒が置かれている。
太郎は封筒を開けてみた。すると、そこには現金百万円が入っていた。
部屋の扉が開き、スーツの男がやって来て、太郎に説明を始めた。
太郎は、高報酬の求人広告を見てこの場所にやって来た。これは、太郎も記憶している通り。
だが、この部屋に入ってきてから、ついさっき目を覚ますまでの記憶が太郎には無い。
スーツの男は言った。
「お疲れ様でした。あなたはしっかりと仕事をこなしました。どうぞ、そちらの報酬をお受け取りください」
太郎は首を傾げ、尋ねた。何も覚えていないが、何かの間違いじゃないかと。
「いいえ。確かに働いていただきました。この映像をご覧ください」
男はスマホを取り出し、映像を再生した。
そこには、同じ、この部屋の様子が映されている。
部屋の真ん中のテーブルに、太郎が座って、一心不乱にペンを持って、何かの帳簿を見ながらそれを書き写していた。
1時間、2時間、3時間……。
何日も何日もそれは続いた。
11日目、スーツの男が入ってきて、太郎に話しかけた。
「どうもお疲れ様でした。機密保持のために、この場所に来てからあなたが見聞きしたことは、すべて忘れていただきます。ご安心ください。身体に害はありませんし、お約束の百万円はしっかりお渡しします」
映像の中の太郎は、男から水の入ったコップと、小さな錠剤を手渡された。
映像の中の太郎はまじまじとそれを見つめて、ちょっとためらっている様子だった。
「それを飲まなければ、百万円は差し上げませんよ」
スーツの男が急かすように言う。
それを聞いた太郎は、意を決して錠剤を口に入れ、コップを口に運ぼうとした。
その瞬間。
はた……と、映像の中の太郎が止まった。
彼は何かに気づいたかのように、ぽかんと目を見開き、無表情で固まっている。
数秒間、フリーズした後、映像の中の太郎は叫んだ。
「いっ、嫌だ! 俺は飲まない!」
叫んだ拍子に口から錠剤が飛び出し、床に落ちる。
「おや、なぜですか? 毒ではありませんよ。飲まないうちは、この施設から出られませんが」
「嫌だ嫌だ嫌だ! 俺は帰る、百万もいらない、ここから出してくれ!」
さいごの一文ワロタww
5億年ボタンみたいにしたかったのかな?
太郎A.Bにするより、なにをさせられてたかの方が怖かったかも
いや、太郎Bヤバいヤツじゃん。
11日間ぶっ通しで帳簿とにらめっこだなんてそうそう出来ない。
多分、太郎は普通の人になったんじゃね?
意味解らんけど同じ自分同士だからいんじゃね?
最後笑う