鈴の音

私の母の家系は霊感があるらしく、私も小さい頃は特に変な気配を感じる事が多くありました。

母も幼少期、そんな体験が時たまあったらしいのですが、私を怖がらせたくなかったらしく、子どもの頃には聞いたことがありませんでした。それで、これから話すのは大人になった最近聞いた話です。

実家の和室の真ん中に布団を敷いて寝ていたある日、なんとなく嫌な感じがして夜中に目が覚めたそうです。そこから中々寝付くことが出来なかった母は目をギュッとつぶって、どうにかして早く寝ようとしていたそうです。

すると、遠くの方で「シャン…シャン…シャン…」と鈴の音が鳴っているのが聞こえてきたそうです。その音をしばらく聞いていると、なんだかどんどん音が近くなってきていることに気付きました。母は、怖くなって布団を頭から被り、鈴の音が通りすぎるのを待っていました。

しかし、音がすぐ近くに聞こえてくると通り過ぎるどころか自分の寝ている布団の周りを「シャン…シャン…」と周り始めてしまいました。更にその鈴の音と一緒に鎧が擦れるような「ガシャン…ガシャン…」という音が一緒にしてきたそうです。

恐らく、鎧兜を着た人か何かが鈴を手に持ち、母の布団の周りを周っていたのでしょう。恐怖で布団の中から出られなくなってしまった状況の中でも母は「布団の周りを1周回られてしまったら、危ない気がする…」と感じたそうです。

そう思った母は意を決して、片足を布団の外に出して回られないように通せんぼしたそうです。すると、鈴の音も鎧の擦れる音も止み、静かになったそうです。

未だにその和室では、祖母が寝室として利用してますが、今は何もないのだとか。