急ブレーキで止まった電車、けたたましく鳴る警笛。
ホームでは線路側に立っていた多くの人が血しぶきを浴びており、
泣き叫ぶ女性や気絶する人、阿鼻叫喚の地獄絵図の様相となっていた。
電車のドアは開かず、中の乗客たちがなにごとかと窓に顔を寄せいた。
すべての窓ガラスにも血しぶきが飛び散っているので、
中の乗客にも何があったのかわかったのだろう。
全員顔面蒼白である。
車両最後部ではちょっとした人だかりができていた。
ちょうどそこにいたAはまたしても見てはいけないものを見てしまった。
電車とホームの間の隙間に、人間の頭が挟まっているのだ。
まるで風呂上がりのように濡れた髪が振り乱されている。
もちろんシャワーでそうなったのではない。
自分の血によって赤黒く濡れているのだ。
そして信じられないことだが、どう見ても即死のその死体に向けて
数人がスマホを向けて写真を撮っていた。
最後尾にいた車掌が窓から青黒い顔を出して下を眺める。
ドアを開けられない。そこに死体の頭があるからだ。
「下がってください!下がって!下がれ!何をしている!」
車掌の怒鳴り声が響くとともに、駅員たちがぞろぞろと走り寄ってきて、
邪魔な野次馬たちを排除しはじめた。
強制的に死体から遠ざけられたものの、
駅のホームではまだ地獄絵図が続いていた。
駅員の数が圧倒的に足りない。
レスキューもまだこない。
ショックで倒れた人をベンチに寝かせるなどの応急処置を
客同士がやっていた。
やがてレスキュー隊も到着し、線路下に降りる隊員や
具合の悪くなった人を担架で運ぶなど救助作業も始まった。
事故現場にはブルーシートがやっとかけられ、
ホームからは全員出るように言われたのだが、
別のホームからはその様子が丸見えであった。
Aは別のホームからしばらく野次馬を決め込んで様子をうかがっていた。

























遺体の写真を撮ること事体おかしい。
ソウルのハロウィン事故でも、救命措置を受ける人の横でまだ踊り狂ってた人もいたというし、人間はわかりません。
遺体の写真と言えば、仲本工事さんの件でも
すったもんだあるみたいですねぇ。
トラウマに、なりそうです。