餓鬼道に落ちたじいちゃん
投稿者:ねこじろう (147)
短編
2022/10/27
15:43
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その夜。
自室のベッドで寝ていると、僕は強烈な手の痛みで飛び起きた。
何事か?と慌てて電気を点けると、驚くことに手首にじいちゃんが噛みついている。
その目は真剣そのものだ。
あまりに痛かったから「なにすんだよ!」と言って振り払うと、よろよろとなって尻餅をついた。
しばらくするとゆっくり立ち上がり、名残惜しげな目で僕を見ながらふらふらと部屋を出ていった。
後で見ると僕の手首には、くっきりと赤黒い歯形が残っていた。
呆然として手首を眺めていると、背後に気配を感じて思わず後ろを振り向いた。
そして背筋がぞわりと凍りつく。
部屋入口ドアの隙間から、じいちゃんが物欲しげな目で涎を垂らしながら、こちらを覗いていた。
【了】
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お寺でお祓いした方がいいです。