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心霊

くすのき木霊さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

父が体験した不思議な話
長編 2022/10/17 11:50 3,684view
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一番大きな病気をしたのは、父が50代後半の時でした。 仕事中に大きな頭痛に見舞われた父は、そのまま意識を失って救急搬送されてしまったのです。病名は「脳幹出血」。母が病院に駆け付けた時は、医師から「もう助かる見込みは無いだろう」と匙を投げられてしまいました。

しかし、父は奇跡的に命を取り留め、意識を取り戻すことができました。退院してから数か月後、今度は脳梗塞を起こしてしまいましたが、こちらも特に後遺症もなく仕事に復帰することができました。 父に「どうしてそんなに悪運が強いのかしら」と、母と冗談交じりに聞いたところ、「俺は宇宙人に守られてるからな」と謎の返事が返ってきました。 「これこそ後遺症で、おかしくなったんじゃないかしら」といぶかしがる家族の心配をよそに、父は若いころのもうひとつの不思議な体験を語り始めたのです。

それは、40年前、私が生まれて間もなくの頃でした。 私を寝かしつけてから、うとうとしていた父の前に、西洋人風の見知らぬ若い男の人が現れたのです。 その人は驚く父に向かって「私の名はイシュタル、いつかその時が来たら必ず迎えにいくからな。それまで待っていろ」と告げました。

父は、そのまま意識を失うように眠りにつき、目が覚めた時はもちろん、男の姿はあとかたもありませんでした。 それを母に話したところ「あんた、寝ぼけてたのよ。お酒ばっかり飲んでるから変な夢でも見たんじゃないの?」と呆れられてしまいましたが、父は「いいや、あれは夢じゃない、イシュタルは絶対にいたんだ」の1点張りです。

なので、普段から信心深いとは決して言えない父ですが、今回の病気のような件があると「神様が俺にはまだ来るな、って言ってるんじゃないのかなあ」と神妙な顔をしてよく言うのです。 ちなみに、20歳の頃から筋金入りのヘビースモーカーで、今まで何度も医師から忠告されてもタバコをやめることのできなかった父でしたが、脳幹出血を起こしてから、 自分でも不思議なくらい、ぴったりとタバコをやめることができたそうです。 これも、もしかしたら目に見えない何者かのおかげなのかもしれません。

しかし、父の若いころからの口癖は「神、仏、ほっとけ」です。父いわく「人間が踏み込んじゃいけねえ領域ってのは、必ずあるんだ。よく、バチが当たる、おてんとうさまが見てる、って昔は言ったもんだけどな。世の中ってのは、そういうように出来てるのさ。だから人間なんかが奢って、何でも自分らの力で解決できるなんて考えちゃいけねえ。神様も仏様も幽霊様もそっとしといてやるのが情けってもんだ」とのことでした。

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コメント(1)
  • 蝦夷っ子だね!

    2022/10/17/18:58

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