赤い靴の女性
投稿者:里見八犬伝 (1)
これは私が中学3年生の時の話である。受験生だったため、塾に通っていた。
毎日塾に向かう際に通るトンネルがあり、そこは親が子供の時からよくでるという噂がたっていたそうだ。私自身、幽霊などといったものは、信じておらず何も考えずにそのトンネルを塾に行く際には通っていた。あの出来事が起こるまでは…
その日もいつものように噂のトンネルを通って塾に向かっていた。
トンネルを通っている際に、風が吹いているわけでもないのに寒気がした。
風邪でもひいているのだろうと思い、トンネルを普段通りに通り抜けていた。
ふと赤い何かが目に入った。しかし、塾の時間に遅れそうだったため、何だったのか確認せずにその日は終わった。塾で学習しているときも先ほどの赤いものが気になって集中できなかった。帰りは親の車で帰ったためそのトンネルは通らなかった。次の日の土曜日の昼に友達と確認しに行ったが赤いものはなくなっていた。落とし物か何かで持ち主が持って帰ったのだろうと安心した。
その日の夜、塾に向かう際にまた、遠くからだったから赤いものかは見えなかったが物が落ちていた。もしかしてと近づいてみてみると赤い色の靴だった。
思わず叫んでしまった。すると靴だけかと思っていたが、足首が見えて顔を上げてみるとそこには40代ぐらいの女性が立っていた。驚きと恐怖で叫ぶことすらできずにただトンネルを抜けようと駆けだした。
後ろを振り返ると追ってくるわけでもなくただ悲しそうに自分の履いている赤い靴を見つめていた。私は塾に行くことすら怖くなって近くのコンビニへ入り、親に向かえ来てもらった。さっき起きた出来事を親に伝えると、「お前には内緒にしていたが、あそこで昔、自殺が起きてしまったことがある」と言われた。
それ以降、あの道から塾へ通うことはしなくなり、受験シーズンを過ぎていった。いまなお通れるあのトンネル。私と同じような体験をしたひとはいるのかとても気になる。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。