確かに存在したSくんの話
投稿者:ねこじろう (147)
短編
2022/09/16
16:34
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あれは全て幻だったのだろうか?
いやそんなはずはない。
確かにSくんは存在していたはずだ。
だって今でもSくんの顔を、、、
顔を、、、
不思議なことに俺の脳内にはSくんの顔形が浮かんでこなかった。
あれだけ長い時間一緒に遊んだというのに。
俺は電車の窓から顔を動かし、ガックリと項垂れると何気なく足元に視線を移す。
その時だ。
突然目前の光景が色褪せ目前の光景がグニャリと曲がり、一種の船酔いに近いような感覚に陥った。
それからぞくりと背中が粟立つと、膝が小刻みに震えだす。
俯いたまま揃えた自分の黒い革靴の前方にゆっくり視線を動かしていくと、
そこには
黒い半ズボンで
素足に薄汚れたスニーカーを履いた二本の白い足があった。
さっきから後頭部に刺すような視線を感じていた俺は、押し寄せる恐怖で顔を上げることが出来なかった。
【了】
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