白いワンピースの女性

これは小学生の頃の話です。

私が通った小学校は、とても長い歴史をもつ学校で
当時の校舎は築50年を超える2階建ての木造建築でした。
学校の怪談などの舞台にもなりそうな雰囲気を持つ
古いH型の校舎といえばイメージしやすいかもしれません。

冬は雪国の為、隙間風が凍てつくほど冷たく
廊下を歩けば吐いた息は白くなり、教室に籠る子供が増えるほどで
人が歩けば必ず階段も廊下もミシミシと鳴るような建物でした。

歴史ある小学校の為、卒業生からの贈答品も多く飾られていて
その中の1つに、大きな鏡がありました。

体育館のキャットウォークに繋がる廊下の突き当りにその鏡は設置されていました。

そして、あれは忘れもしない6年生の冬の出来事でした。
私は友人達と器楽部に加入しており、毎年冬は演奏会をする為に
音楽室から体育館へ活動場所を移し練習をしていました。

体育館と玄関は距離が離れており、部活後は皆で肝試しをしながら
玄関に向かうのが冬の恒例で、古く暗い校舎内は気味は悪いものの
七不思議や幽霊の目撃はなく、ただ雰囲気を楽しむ為に肝試しをしていました。

今ほど管理の目が厳しくなかった為、体育館から玄関に向かう道は
その時々でコースを変え、理科室の前を通る最短コースや
トイレ前を通る少し遠回りコース、あえて2階を通る最長コースなど

2～3人で組みを分けて玄関に向かっていました。

そんなある日です。部活の休憩中、他の部活の邪魔にならないように
体育用具室に集まってお喋りしていた時、1人1話ずつ怖い話をする事になりました。
TVで観た怖い話をする子が多い中、友人の1人が白いワンピースを着た
髪の長い女性を見たと話しだしたのです。

その友人は自分には霊感がある事、部活終わり楽器をしまっている時に
キャットウォークの方を見たら、白いワンピースを着た髪の長い女の人が立っていた事。
その場所は、あの鏡がある廊下に繋がる入口だったと言うのです。

怖い物見たさ、好奇心、子供心に駆り立てられるものがあったのか
その日の帰りから、玄関までの肝試しで白いワンピースの女性を見つけるのが流行り出しました。